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レーザ光のビーム形状最適化
【IT】発信:2003/02/25(火) 12:09:57
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産業技術総合研究所・光技術研究部門(小林直人・部門長)は、産総研「AISTベンチャー」認定の進化システム総合研究所、筑波大学電子・情報工学系の安永研究室と共同で、レーザー光のビーム形状(波面)を制御するために用いる可変形ミラーの高速自動調整を可能とするソフトウェア及びCCD評価システムを開発し、実用化に必要とされる調整時間10分以内を達成した。これまで、研究レベルでのみ使用されていた可変形ミラーによるビーム形状の整形を、遺伝的アルゴリズムに基づく自動調整ソフトウェアを開発することによって、短時間で実現し、かつ再現性と信頼性を確保することが初めて可能となった。また、CCDによる高速評価システムの導入により、この技術の実用化に成功した。今後、レーザー加工分野やレーザー医療分野への応用が大いに期待される。
レーザー発振装置から伝搬されたレーザー光の波面は、空間的に乱れた波面となっている。このため、光の中心部分はほぼ波面が揃っているが、光の周辺部分にいくにしたがって波面の乱れを生じている。このようなレーザー光を工業分野で用いる場合、比較的波面の揃った中心部分のみを切り取って利用しているのが現状である。そこで、中心部分のみを用いるのではなく、周辺部分の波面を中心部分に揃えることによって、レーザー光全体を活用できるようにし、エネルギー効率を改善する技術開発が期待されている。
可変形ミラーは、調整箇所を多数もつ任意形状に変形可能なミラーである。この可変形ミラーは、裏側の多数の電極部を伸縮させる事により、ミラー膜の表面形状を任意の形状に変形させる機能を持つ。ミラー膜の表面形状は、その電極部の電圧の組み合わせによって決まり、例えば、37個の電極(設定可能範囲0〜255ボルト)の場合は、256の37乗、だいたい10の90乗もの天文学的な組み合わせとなり、人手の調整では、事実上最適な調整を見出すことが不可能である。そのため、可変形ミラーの用途は、現在では研究用に限定されている。利用者は、可変形ミラーの天文学的な組み合わせから、良さそうな組み合わせを発見し、調整しているのが現状である。さらに、使用時の光負荷や熱負荷などの計算できない影響も考慮する必要がある。また、線形解析の手法を取り入れた自動調整技術も存在するが、初期調整を人手に頼るなどの問題点があり、研究レベルに留まっている。
産総研、進化システム総合研究所、筑波大は共同で、遺伝的アルゴリズムに基づいた可変形ミラー自動調整ソフトウェアを世界で初めて実現した。このソフトウェアは、レーザー光のビーム形状を自由自在に整形するために、可変形ミラーの調整を自動で高速に行うことを可能とするものである。
このソフトウェアの特徴は、可変形ミラーの多数ある調整箇所(既存のミラーでは、ミラーの大きさにより17〜117箇所)を同時に調整することである。また、CCDを用いた高速評価システムを統合することにより実用化に必要な10分以内(37箇所の場合)の調整時間を達成した。
なお、この遺伝的アルゴリズムを用いた自動調整手法は、可変形ミラーを含むすべての光学システムに適用できる応用可能性の高い技術である。
例えば、レーザー加工分野では、今回の開発でレーザー光のビーム形状を自由自在に最適化(波面の補正と集光状態の最適化が可能)できるようになったことで、エネルギーコストの削減や、加工切断面の凹凸の少ない高精度のレーザー加工が可能となる。また、レーザー医療分野においては、トップハットと呼ばれるエネルギー分布が一様なビーム形状を利用することによって患部への一様なレーザー照射が可能となり、生体へのダメージの少ない治療が可能となる。
産総研では今後、別途開発中の耐熱性の可変形ミラーと今回の自動調整ソフトウェアを統合して、高効率フェムト秒レーザーシステムの開発を進めていく。また、この自動調整ソフトウェアについては、既存の可変形ミラー用自動調整ソフトウェアとして、旧通商産業省(現経済産業省)傘下の国立研究所からの第一号ベンチャー企業である進化システム総合研究所が、4月を目途に販売を検討している。
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