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炭素繊維強化炭素複合材料の非破壊検査技術を開発
【その他】発信:2003/04/17(木) 15:06:33
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産業技術総合研究所エレクトロニクス研究部門(伊藤順司・部門長)は、早稲田大学大学院理工学研究科、宇宙科学研究所と協力し、有効な非破壊検査手法が存在しない炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)の欠陥を、超伝導量子干渉素子(SQUID)を用いて、非破壊的に検出する技術の開発に世界で初めて成功した。
およそ3000度Cの高温に耐えるといわれているC/Cコンポジットは、スペースシャトルの機体先端や翼の先端部の耐熱タイルの材料として用いられている。また、航空機や自動車のブレーキディスクにも使用されており、現在、重要な地位を占める高温材料である。しかし、C/Cコンポジットは「超音波を減衰しやすい」「X線を透過させやすい」という性質を持つため、従来の方法である「超音波」や「X線」を用いた非破壊検査手法の適用が困難で、有効な非破壊検査技術はこれまで存在しなかった。
そこで研究グループは、材料内の電流分布からC/Cコンポジットの欠陥を検出する非破壊検査手法を開発した。炭素繊維系複合材料の欠陥は材料の導電率を変化させ、材料を流れる電流の分布は、この導電率変化の影響を受けて変化する。この電流分布を検出することにより欠陥発生の位置・範囲の検出を行う。
今回、SQUIDグラジオメータを用いて、材料を流れる電流により発生する「磁界の空間勾配」を検出することで、欠陥による電流分布の乱れをイメージングし、欠陥部位を同定する手法を開発した。この手法を用いてC/Cコンポジットに発生した最終破断発生以前の母材亀裂や、繊維断線が複合して発生した欠陥の位置と範囲を検出することが可能となった。また、電流分布から欠陥状態を把握することができた。さらに、C/Cコンポジットに発生した欠陥進展に伴う材料強度劣化の度合いと、欠陥部位における電流分布に、強い相関があることを定量的に明らかにした。このことから、C/Cコンポジットの劣化診断や予寿命評価が可能となることが期待される。
研究グループは、この手法の実用化に向けてSQUID冷却用の小型冷凍機を開発・導入した。SQUIDの超高感度を活かすために、岩谷瓦斯と共同で、非磁性材料を用いた低振動の同軸型パルスチューブ冷凍機を試作し低磁気ノイズと低振動な小型システムを実現した。また、さらなる低振動と高温度安定性を実現するためSQUID設置ステージを冷凍機の冷却端(コールドヘッド)から分離する機構を開発・導入した。環境磁気への耐性に優れたHTS―SQUIDグラジオメータを産総研が作製し、これを冷凍機に実装した。これらにより、磁気シールドと冷却剤を用いることなく、通常の実験室で安定して動作し、振動がほとんど無く、低電磁ノイズの非破壊検査システムの開発に成功した。
また、電気的に高抵抗なC/Cコンポジットに十分な量の渦電流を発生させるため、透磁率の高いU字型フェライトコアを鉄心に用いて、電流約0.1アンペアで約1ミリテスラの磁界をサンプルに印加できる磁界発生装置を製作し、SQUID非破壊検査システムのプローブ部に組み込んだ。C/Cコンポジットとほぼ同じ導電率を持つCFRPの板状サンプルにこのシステムを適用したところ、厚さ20ミリメートルのCFRPの裏面に作製した幅40ミリメートル、長さ1ミリメートル、高さ2.5ミリメートルの亀裂状欠陥を非接触で検出することができた。
研究グループは今後、さらに扱いの容易なHTS―SQUIDグラジオメータと、小型冷凍機システム、非接触検査のための強磁界発生装置を開発し、これらの要素技術を組み合わせることにより、C/Cコンポジットのための非破壊検査技術の実用化を進める予定。
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