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新しい生体高分子の立体構造解析手法、産総研が開発
【その他】発信:2004/03/04(木) 09:31:11
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〜真空紫外の円偏光二色性測定、キラル医薬品開発などに期待〜
産業技術総合研究所の光技術研究部門は、神戸大学と共同で、生体高分子の立体構造解析法として広く使われている円偏光二色性測定技術を、140nm(1nmは10億分の1m)より短波長の真空紫外領域で実用化することに世界で初めて成功した。
これまで円偏光二色性測定が可能な波長領域は、赤外から可視、紫外領域までであったが、今回これを真空紫外領域へと拡張したことで、今まで測定できていた生体高分子についてはさらに詳細な構造分析が可能となり、従来測定できなかったアミノ酸などの高分子についても測定できるようになる。この新しい手法は、生体高分子の立体構造決定や反応機構追跡が可能であり、キラルな医薬品【注】の開発にとって重要な分析技術として期待される。今回の研究開発は、原子力委員会の評価に基づき、文部科学省原子力試験研究費により産総研で実施した。
円偏光二色性は分子の構造による左右円偏光に対する応答の違いにより生じるもので、生体高分子の立体構造を敏感に反映したスペクトルを示す。円偏光二色性測定は、そうした測定試料の偏光による応答の違いを利用した光学的な測定方法である。しかし、水銀ランプやキセノンランプなどの従来光源を用いた市販の円二色分散計では、波長領域190nm程度までしか測定できなかった。そこで、最近は放射光を光源とした真空紫外領域での円偏光二色性測定技術の開発競争が世界中で盛んだ。
産総研では、開発した手法を用いて、これまでに従来法の限界を超える130nmまでの波長領域での測定に成功した。また「TERAS」では、波長が交流的に偏光変調された放射光を40nm領域まで発生可能なため、原理的には真空紫外領域40nmまでの円偏光二色性測定を行えることが確実だとしている。
薬の作用は、受け手になる生体分子(タンバク質、核酸など)と薬の分子の構造によって決まるが、大きな分子になるほど測定量と計算量が飛躍的に増大する生体高分子の構造解析について、円偏光二色性測定による構造解析は少ない労力で測定・解析ができる。さらに、分子内の反応機構追跡なども可能となる。このように、円偏光二色性測定は生体高分子の立体構造を知るための有力な手段となり、薬害を無くすためのキラル医薬品の開発に貢献できると期待されている。
【注】アミノ酸にはLー体(左手型)とDー体(右手型)の二つの型がある。これらは全く同じ原子でできているが、互いに鏡像関係になる構造をしている。人体の中で働くのは全てLーアミノ酸だけであり、医薬品における多くの体の中で働く分子は鏡像体の一方で、もう一方は薬としての働きをしないことが多いばかりか、毒として働くことがある。一方の型のみを合成した医薬品をキラル医薬品と呼び、サリドマイドの薬害が一方の型に起因していたことが報告されて以来、キラル医薬品の効率的合成法の確立が求められている。
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