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高温超伝導体で電子列状に奇妙な状態を発見
【IT】発信:2004/03/05(金) 07:50:38
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電力中央研究所の安藤陽一上席研究員らはイリノイ大学のアリ・ヤズダーニ準教授のグループと共同で、高分解能STMを使って、高温超伝導体では超伝導が起こる前に電子が列状に並んだ奇妙な状態を作っていることを発見した。通常は電子が空間的に並んでしまうと絶縁状態になるが、高温超伝導体では、電子が並ぶことによって逆に電気が最も流れやすい超伝導状態になっているという、意外な事実が明らかになった。これにより、高温超伝導が起こる仕組みの解明がこれから一気に進む可能性がある。
安藤研究員は、94年から96年に米ベル研究所で高温超伝導の研究を進めていた。研究の途上「高温超伝導になる前には絶縁体と同じような状態になるのではないか」と考えたが、それを証明することはできなかった。その後、電力中央研究所で超伝導薄膜を設計するための研究チームに入った。研究の過程で、STM(走査型トンネル電子顕微鏡)を使えば、高温超伝導体の内部の電子状態を解明できるのではないかと思いついたが、耐えうるだけの安定性の高いSTMは無かった。それからしばらくして、友人のヤズダーニ準教授の研究グループが温度可変型STMを開発したという話を聞いたため、共同研究をすることになった。
物理学的には超伝導の大きな特徴は電子状態に「超伝導ギャップ」と呼ばれる構造ができることだが、STMを使うと超伝導ギャップを直接観察できる。高温超伝導体では、超伝導状態になるよりも前の高い温度から超伝導の前駆状態と考えられる「擬ギャップ状態」ができることが知られていた。ヤズダーニ準教授との共同研究は、この擬ギャップ状態で電子が空間的にどうなっているかを調べることが目的だ。
安藤研究員は、STMの実験はなるべく低温で行う方が高分解の画像が得られるため、銅原子の代わりに少量の亜鉛原子を入れ、意図的に低くしたビスマス系高温超伝導体の単結晶を作製した。試料をイリノイ大学のヤズダーニ準教授のもとに持ち込み、温度可変型STMで観察した。
まず最初に常温で試料を観察した結果、ビスマス系高温超伝導体特有の超周期構造と呼ばれる原子が並んだ構造が見えた。この試料を超伝導転移温度(マイナス190度C)よりも高いマイナス173度C、適度なバイアス電圧で観察した結果、電子の奇妙な状態が観察された。白い点が電子の集まっているところで、この点が超周期構造の走る方向に対して45度の方向に並んでいるのが見える。電子が空間的に列状に並んだ秩序化した奇妙な状態が擬ギャップ状態のもとになっていることが分かった。
こうした奇妙な状態を観察したのは世界でも初めてであり、また近い理論はあったが、この状態を予測した理論はなかった。この奇妙な秩序状態の起源を明らかにすることによって、具体的に高温超伝導が起こる仕組みが解明されるかもしれない。
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