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トンネル接合を用いたメモリやハードディスクヘッドの高性能化へ
【IT】発信:2004/09/22(水) 12:58:22
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〜強相関酸化物金属磁性体、世界初、界面磁性の直接検出磁気抵抗率UPにも成功〜
産業総合技術研究所強相関電子技術研究センター(土倉好紀センター長)のグループと科学技術振興機構は、強相関酸化物金属強磁性体を用いたスピントンネル接合において、金属強磁性体(電極)・絶縁体(トンネル障壁)の接合界面の磁性を光で検出することに世界で初めて成功した。またその磁性を増強するための界面原子積層方法を開発し、その有効性を実証した。今回その成果がサイエンス7月30日号に掲載された。今回の成果は、次世代不揮発性メモリとして注目されている磁気メモリ(MRAM)や、ハードディスクの読みとりヘッド磁気センサなどに応用される、スピントンネル接合の高性能化につながるものとして期待される。
現在、ハードディスクの読みとりヘッドには金属磁性体・パーマロイを用いたスピントンネル接合磁気センサが実用化されている。最近では、ハードディスクの面記録密度が年率60%という驚異的な増加率で大容量化が持続しているが、さらなる成長には飛躍的に高感度な磁気センサの開発が望まれている。
またスピントンネル接合のもう一つの重要な応用は磁気メモリである。スピントンネル接合では電源供給を止めても磁化の向きとして磁気を蓄積し、電気抵抗として情報を読み出すことができるものが、性能のさらなる向上が求められている。
磁気メモリなどに用いられる性能(トンネル磁気抵抗率)は、原理的には電極である金属強磁性体のスピン偏極率が高いほど良い。そのため100%のスピン偏極率を持った強相関酸化物金属強磁性体は、トンネル磁気抵抗率は理論上無限大となり、スピントンネル接合の画期的な新素材として期待されている。
しかしこれまで開発されてきたスピントンネル接合では、強相関酸化物金属磁性体と絶縁体のスピン偏極率が低下するため、期待通りの性能を得ることができなかった。
国内外の電機メーカーや各種研究機関では、スピントンネル接合の作製および性能評価を重ね、電極である金属強磁性体やトンネル障壁である絶縁体の最適化が試みている。しかし、強相関センターのグループは、これまでような方法では抜本的な性能向上が望めないと判断、スピントンネル接合の界面でのスピン偏極した電子の挙動を詳しく調べる戦略をとった。
当初、界面を何層にも積み重ねた超格子構造で磁性や磁気抵抗効果を調べていたが、物質全体の磁性から、そのごく一部の界面磁性だけを取り出すことは困難だった。しかし同グループは、レーザー光を利用した磁化誘起第二高調波発生(MSHG)を使うことによって、界面磁性だけを選択的に検出することに成功した。
この手法を様々な材料の組み合わせに適用して調べたところ、界面の電荷移動がスピン偏極率の低下を引き起こしていることが明らかになった。そこで同グループは、マンガンベースの強相関酸化物金属強磁性体を用いたスピントンネル接合において、界面電荷移動を相殺するような界面の原子配列構造を設計し、原子レベルで設計通りに構築して調べたところ、劇的に界面磁性が増強することを明らかにした。
さらに作製したスピントンネル接合のトンネル磁気抵抗率を評価したところ、従来の50%の磁気抵抗率から170%へと大幅に高まり(温度は10K)、デバイスの高性能化につながる結果が得られた。
現状では、開発したスピントンネル接合は、温度上昇とともに磁気抵抗率が低下するが、MSHGで検出した界面磁性は比較的高い値を示しており、この原因がトンネル障壁層の漏れ電流によることがわかっている。
同グループによれば、今後トンネル障壁層の高品質化と材料の最適化により、漏れ電流を抑制することで、室温でもトンネル磁気抵抗率が100%程度の実用に十分な性能を実現できる見込みがあるとのことだ。
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