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免疫を増強する人工リンパ節を作成、理研渡邊氏ら
バイオ】発信:2005/01/25(火) 19:38:52  

  理化学研究所(野依良治理事長)免疫・アレルギー科学総合研究センター免疫監視機構研究ユニットの渡邊武ユニットリーダー、末松佐知子研究員らは、自然のリンパ節を参考に、人工の免疫装置を作り上げた。これをマウス体内に導入すると、マウスで強力な免疫応答を示し、世界で初めて人工リンパ節の作製に成功している。この成果は『ネイチャー・バイオテクノロジー』の12月号に掲載された。

  戦後、様々な感染症の克服に努め、それなりの成果を挙げてきた感染症研究は、最近、エイズやSARSなどの新興感染症、結核、マラリアなどの再興感染症などで再び注目を集め始めた。また、免疫力の低下はガンの発症とも深く関わるほか、感染症の重症化などにつながるなど新たな課題も生まれている。渡邊ユニットリーダーらは、外部から免疫機能を導入し、生体内の免疫機能を強化して諸課題に打ち勝つ方法論に注目。リンパ球が集まる二次リンパ節組織を、人工的に構築する方法の開発を目指した。

  実験では、種々の生体適合性高分子材料や上皮を支えるためのストローマ細胞などを利用し、自然のリンパ節と同様な構造で、より効率良くB細胞、T細胞、樹状細胞などの免疫細胞が集積する人工組織を作った。生体適合性材料の三次元骨格で、T細胞やB細胞が明確に区別される領域に分かれて局在する構造を産み出す仕組みで、自然な組織構造が構築された。

  この人工リンパ節をマウス体内に導入した結果、まず人工リンパ節内にT細胞やB細胞、樹状細胞が共存している様子が観察された。さらに濾胞形成と呼ばれる免疫反応開始時に見られる現象も確認された。正常リンパ組織と同様に活発に増殖するB細胞のほか、抗原刺激で抗体産生細胞に分化していくB細胞など、人工リンパ節が自然のものとほとんど変わらない生理機能をもつことが分かった。

  また、この人工リンパ節を他のマウス個体に移植すると、非常に強い二次的な免疫反応が誘導された。逆に、免疫能力のないマウスに移植すると、抗原刺激によって正常マウスに移植した時に比べ、約百倍も強い免疫反応が誘導された。この様子から、重症感染症やガンに対し、人工リンパ節が強力な免疫反応を引き起こし、有効に活用できる可能性が示されたという。

  今後、研究ユニットでは将来の臨床応用に向け、ヒト型の人工リンパ節の構築を進める予定。このほか、効率の良いヒト由来のストローマ細胞の開発、生体適合材料の開発と改良などにも取り組む。人工リンパ装置を用いた有用な抗体の生産、サイトカインの産生の系も確立したいとしている。



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