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半導体に閉じ込められた電子のバンド構造を可視化
【IT】発信:2005/03/04(金) 14:46:31
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奈良先端科学技術大学院大学物質創成化学研究科の武田さくら助手(大門研究室、大門寛教授)らはこのほど、半導体中に閉じ込められた電子のエネルギーバンド構造を実験的に直接測定することに成功した。この成果は米国の物理学専門誌『フィジカル・レビュー・レターズ』1月28日号に掲載された。(論文名「光電子分光法によるホールサブバンドの面内分散の可視化」)
携帯電話やパソコンなど現代の電子機器の心臓部である半導体素子の中では、幅ナノ程度の狭い層に閉じ込められた電子が働いている。半導体素子の性能は、そうした閉じ込められている電子の動き方で決まる。ただ、ナノメートル程度という狭い層に閉じ込められた電子は、日常目にする物理学とは異なる量子力学的性質を示し、マイクロメーター以上の大きさの中で動いている電子とは、だいぶ違った様子で動き回っている。
半導体の性質を調べ、その性能を向上させるうえで、半導体中に閉じ込められた電子の量子力学的振る舞いを解明することは極めて重要である。こうした現象は、すでに1950年代に予測されており、それ以降、日米を中心に数多くの研究がなされてきた。電子の動き方を決定するのは、電子のエネルギーバンドと呼ばれるものであるが、電子が閉じ込められた場合、このバンド構造が非常に複雑になることが70年代に行われた理論計算から明らかにされた。実験的には、この複雑な構造を間接的に測定できた例はあったが、これまで直接測定には成功していなかった。
武田助手らはまず、代表的な半導体であるシリコンの原子レベルで平たんな表面上に、インジウムを原子の厚さで蒸着すると、インジウムが電極のようにシリコン内の電子を引きつける現象を利用、シリコン表面近傍に電子を閉じ込める層をつくり出した。次に、そのシリコン上部に集まった電子に強いエネルギーを持った紫外線を照射して光電効果により電子を飛び出させた。そして、光電子分光器と呼ばれる装置を用い、同じ方向に飛び出す電子群を捉え、飛び出した方向別にそのエネルギーと数を測定。それらのデータから、閉じ込められた電子のバンド構造を解明した。
今回の研究によって、重いホールと軽いホールバンド構造混成の様子や、負の質量を持つ”らくだの背”構造など、これまでの推定によって議論されてきたサブバンドの特徴の全体像が直接可視化され、半導体中に閉じ込めらた電子の動きが詳細にわかるようになった。今後の半導体素子の高性能化に重要な指針を与え、高速のコンピューター開発につながる成果と評価されている。
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