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結晶構造と色の変化、有機光デバイス開発の強力ツール
IT】発信:2005/05/10(火) 13:35:48  

  早稲田大学大学院理工学研究科の加藤徳剛客員講師、同学理工学部物理学科の上江洲由晃教授らのグループは、(財)高輝度光科学研究センター、宇都宮大学工学部と共同で、有機色素分子の2次元結晶のX線構造解析を行い、結晶構造とその結晶の色との関係を定量的に明らかにした。

  一般に有機色素分子は、結晶化すると色が変わる。なかでも可視光吸収ピークが、結晶化することで長波長側にシフトしたものを、一般にJ会合体と呼ぶ。J会合体は銀塩写真の光増感剤として長年使われており、現在では高速応答非線形材料としても注目されている。

  両親媒性メロシアニン色素は、水面上に単分子層厚のJ会合体(2二次元結晶)を形成し、結晶化により赤色から青色に変わる。可視光吸収ピークのシフト量はΔE=マイナス0.36eVである。このシフト量(色変化)を定量的に説明するためには、結晶構造が分っていなければならない。同グループは、SPring−8で実施した斜入射X線回折実験により、水面に浮んだ二次元結晶の構造解析に成功した。決定した結晶構造をもとに、分子間相互作用を計算しΔEを定量的に評価した。計算では、分子間の遷移双極子相互作用に加え、これまで考慮されてこなかった電気双極子相互作用についても計算を行った。その結果、電気双極子相互作用もピークシフトに重要であることが明らかになった。

  ΔEへの電気双極子相互作用は、色素分子の基底状態での電気双極子と励起状態での電気双極子との差に起因している。メロシアニン色素の場合には、ΔEの約50%が電気双極子相互作用に起因していた。導出した計算式は、有機色素分子の結晶構造をその吸収スペクトル(色)から予測するのに有効であるという。

  現在、有機色素分子の結晶や凝集体を用いた光デバイスは、性能・コスト・加工性の面で従来の材料にない、多くの優れた特徴を持っていることから研究・開発が盛ん。デバイスとして、安価で高性能な次世代型太陽電池の有機色素増感太陽電池や、フレキシブル薄型デイスプレイの有機EL素子、有機色素感光体が記録部に用いられているDVD−RやCD−Rなどがそうである。これら光デバイスの吸収ピーク波長は、デバイスが用いられる波長領域を決める重要な要素となる。

  今回導出した計算式は、ある色素分子をどのように配列したら、吸収ピークがどれくらいシフトするかを、一般的な色素分子ついて簡単に予測することができる。あるいは逆に、吸収ピークのシフト量から、分子の配列構造を簡単に見積もることもできる。そのため今回の成果は、高機能な新規有機色素デバイス開発への指針を与えると期待される。

  なお同研究は、文科省の早稲田大学21COEプログラム「多元要素からなる自己組織系の物理」の支援を受けたもので、成果は、米国物理学会のPhysical Review Letters4月8日号に掲載された。



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