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木質細胞の分化を制御、マスター遺伝子発見
【バイオ】発信:2005/09/15(木) 07:23:45
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理化学研究所植物科学研究センターの出村拓・チームリーダーらは、東京大学の福田裕穂・教授、神戸大学の三村徹郎・教授と共同で、シロイヌナズナとポプラを使って、樹木の骨格や生命の維持に大きく関与している木質細胞の分化を制御するマスター遺伝子を世界で初めて発見した。この遺伝子を導入すれば、表皮の細胞を強引に木質細胞に分化させることができるという。米国雑誌GENES&DEVELOPMENTの8月15日号に掲載された。
地球上のバイオマスの大部分は森林由来の木質バイオマスであり、これが地球上の二酸化炭素の多くを固定している。現在、無秩序な森林破壊によって、年間1000万ヘクタール(0.3%)ずつ、森林が減少しており、これに伴って二酸化炭素が放出され、地球の温暖化にもつながっている。
こうした木質バイオマスを形成するのが木質細胞。管状要素(道管・仮道管)と木部繊維からなり、広葉樹では10〜40%が道管、針葉樹では95%が仮道管から構成されている。
研究チームは、新たにシロイヌナズナ培養細胞の管状要素分化誘導系を開発、それを用いて、シロイヌナズナの約2万3000遺伝子の網羅的な発現解析を行うことで、管状要素の分化の際に遺伝子発現する約200個の遺伝子を見つけた。
その中から、遺伝子発現に関わると予想される一群のNACドメインタンパク質に着目し、シロイヌナズナとポプラを使って、それら遺伝子の働きについて詳細に解析した結果、VND6とVND7と名付けられた、互いに類似した二つのNACドメインタンパク質の遺伝子が、本来は管状要素に分化しない表皮細胞などを管状要素へ分化させる能力を持つことを発見した。また、これらの遺伝子の働きを抑えると正常な管状要素は形成されない。さらに、シロイヌナズナとポプラという異なる植物種で管状要素の分化を誘導できることから、これらが木質形成のマスター遺伝子であることが明らかになった。
植物では、細胞分化の運命を直接支配するようなマスター遺伝子の存在はほとんど知られていない。福田教授によると「植物は環境の変化にあわせて、自らを変えることで生き延びてきたため、変化を決定づけてしまうマスター遺伝子自体が少ないのではないか」という。
出村チームリーダーは「今後、VND6とVND7が関わる遺伝子発現のネットワークを明らかにすることで、木質細胞が分化する仕組みを解明したい」としている。将来的には、バイオマスの生産性と品質の人為的な制御技術が確立され、生産性が高く品質の優れたスーパー樹木の分子育種に新たな道が拓かれるものと期待される。
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