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希土類化合物の風変わりな性質をSPring−8の赤外線で探る
その他】発信:2007/05/14(月) 10:20:31  

‐局在していた電子が突然動き出す相転移を発見‐

  神戸大学、静岡大学、高輝度光科学研究センターの研究グループは、希土類化合物YbInCu4が絶対温度42K付近で起きる急激な性質変化について、電子が動けない局在状態から結晶中を動き回る非局在状態へ不連続に変化する1次相転移であることを明らかにすることに成功した。

  過去に行われた赤外線の実験では、そのような急激な変化は見られなかったという。これらの実験では、測定する試料面がヤスリによる研磨で準備されていた。研究グループの一人、神戸大学大学院理学研究科の岡村英一准教授によると「その研磨が結晶を乱したのではないかと推測し、試料をへき開(結晶面に沿って割ること)して乱れの少ない結晶面を出して赤外線の反射強度を測定したところ、幅1K程度で突然変化した」という。

  ただ、へき開によって平坦で広い結晶面が得られる物質もあるが、YbInCu4では0.5mm程度かそれ以下の微小な結晶面しか得られなかった。「このような微小面で赤外線の反射率を正確に測定するのは、市販の赤外光源では困難だった。しかし今回はSPring‐8から生じる高輝度な赤外線を用いることで容易に実験を行えた」。これが発見に至るポイントであったとしている。また冷却時と昇温時で変化の起きる温度が異なる”ヒステリシス”も明確に観測した。

  これらにより急激な性質変化が電子状態の不連続な変化である1次相転移によること、低温側では希土類化合物で4f電子が非局在状態にあることを示すことができた。さらにこの結果を、他の希土類化合物に関する赤外分光の結果と比較すると、”多くの希土類化合物で赤外線の強い吸収が起きる光子エネルギーは、4f電子の軌道と電気を伝える電子の軌道が混ざる強さに比例する”とする、これまで知られていなかった普遍的な性質を発見した。

  岡村准教授の話「同様の現象は試料に圧力を加えて、結晶中で原子が並ぶ間隔を縮めることでも実現できると考えられる。このため希土類化合物の赤外線実験を、数万気圧かそれ以上の超高圧力下で行いつつある。このような超高圧を発生する装置では0.1mm程度の微小試料しか用いることができないため、やはりSPring‐8の高輝度な赤外線が威力を発揮する」



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