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花を咲かせるホルモン、思い通りの時期に開花
【バイオ】発信:2007/05/15(火) 11:23:51
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奈良先端大学院大学バイオサイエンス研究科の島本功教授と大学院生の玉置祥二郎さんらは、思い通りの時期に花を咲かせる植物ホルモン「フロリゲン」を発見した。70年前にその存在が提唱されながら、取り出すことができず、現在まで解明されていなかった。島本教授らは、このホルモンがイネの開花を促進する遺伝子Hd3aにより作り出されたタンパク質であることを解明、イネの遺伝子に導入したところ、通常50〜60日を要する開花を15〜20日で実現した。サイエンス誌のオンライン速報版に4月19日掲載された。
フロリゲンは、1937年にロシアの植物学者チャイラキアン博士がその存在を提唱した。花を咲かせる日照条件で育てた植物の葉を切り取り、花の咲かない日照条件で育てた植物に接ぎ木したところ、花が咲いたため、葉に花を咲かせる因子「フロリゲン」が存在し、それが茎の先端まで移動して花を咲かせていると考えた。しかし、フロリゲンを抽出することは誰もできず、長い間“幻の植物ホルモン”と呼ばれていた。
フロリゲンはどんな物質なのか。候補としては、(1)RNA、(2)タンパク質、(3)遺伝子が何らかの物質を変換させたもの、というのが考えられる。ゲノム解析が進む7〜8年前から、世界中の研究グループがフロリゲンを発見しようとしのぎを削っていた。2年程前、mRNAがフロリゲンであるとする論文がサイエンス誌に掲載され話題を呼んだ。シロイヌナズナで得られた研究成果だが、島本教授らは「これは違う」と考えていたという。
多くの研究者がシロイヌナズナやタバコを使ってフロリゲンの研究を進める中、島本教授らはイネに着目して研究を行った。イネの花成を促進する遺伝子として知られているHd3a遺伝子に、緑の蛍光を発して目印となる発光タンパク質GFPを結合させた上で、茎や葉の内部で栄養分が移動する通り道「維管束」で働くような性質を持たせた合成遺伝子を作り、イネに導入した。この遺伝子を導入したイネは開花時期を短縮できた。
さらに、緑の蛍光を発するタンパク質(Hd3a:GFP融合タンパク質)が葉と茎の維管束で観察されただけでなく、花を形成する茎の先端(茎頂)でも観察された。融合タンパク質はもともと葉のみで作られ、葉や茎の維管束、さらに茎の先端に運ばれ花を咲かせることが明らかになった。この結果から、Hd3aタンパク質がフロリゲンであることが証明された。
フロリゲンは、どの植物にも共通な普遍的な花成ホルモンである。今回の発見によって、花の開花を促進する薬の開発も可能になることから、園芸分野や穀類の増産など応用への展開が期待される。
島本教授は「フロリゲンが茎頂に到着してから、その後いかに花を咲かせるかという仕組みを解明したい」と今後の展望を語った。 ※ ※ ※ 今回のサイエンス誌には、島本教授と共同研究を行っていたドイツの研究グループが、シロイヌナズナでフロリゲン(タンパク質)を発見したという論文が掲載された。また、RNAがフロリゲンであるとする論文が取り下げられたことも同誌は報じ、これまでの経緯などについて掲載している。数年前、RNAは最先端の研究テーマであり、多くの研究者が様々な研究を展開し、センセーショナルな話題に対しては多くの論文誌も十分な検証なくそれらを掲載した。未知なものを扱う最先端科学研究なだけに、常に冷静さを失わず、さらに常識にとらわれないことの大切さが実感された。
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