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植物ポリフェノールの構造多様性、抗ガン剤等医薬品開発に期待
【バイオ】発信:2007/05/27(日) 13:35:58
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静岡県立大学薬学部の阿部郁朗講師らは、三菱化学生命科学研究所、三菱化学のグループと共同で、植物ポリフェノールの構造多様性を生み出す要因となる酵素タンパク質の立体構造と反応機構を世界で初めて解明した。酵素機能の改変や物質生産への応用により、抗ガン剤など新しい医薬品開発にもつながるものと期待される。米科学雑誌ケミストリー&バイオロジーに4月30日、掲載された。
お茶や赤ワインのポリフェノールからウコンのクルクミンまで、植物ポリフェノールは多様な構造と生理活性を示す。最近、これら植物ポリフェノールが、一連のポリケタイド合成酵素によって生合成されることが明らかにされつつある。こうした天然物の基本骨格を作る酵素の中には、微妙な構造の違いで反応様式が大きく変わるものがある。これが天然物の分子多様性を生み出す大きな要因となっているが、これまでその詳細な立体構造は分かっていなかった。
研究グループは、キダチアロエ由来ポリケタイド合成酵素の野生型と、207番のメチオニンをグリシンに置換した変異型酵素を、それぞれ大腸菌で過剰発現させ、精製した酵素を結晶化し、SPring8でX線回折強度を測定、両酵素タンパク質の立体構造を1.6オングストロームの分解能で得ることに成功した。
植物に普遍的に存在するフラボノイドの骨格を作るカルコン合成酵素は、キダチアロエ由来ポリケタイド合成酵素とは、アミノ酸レベルで60%の相同性を示す。今回、カルコン合成酵素との結晶構造との比較により、両酵素はタンパク質全体でほぼ同一の立体構造を共有することが示された。しかも、両酵素活性中心を構成するほとんどのアミノ酸残基を重ね合わせることが可能だった。一方、活性部位のキャビティの大きさは、明らかにキダチアロエ由来ポリケタイド合成酵素の方が小さく、こうした活性部位キャビティの大きさを形状の違いが、酵素反応の生成物特異性を決定することが分かった。
次に、野生型と変異型酵素のタンパク質構造の比較により、メチオニンをグリシンに置換することで、実際に活性部位キャビティの大きさが劇的に変化することが明らかになった。つまり、変異の導入により、活性部位の下側に今まで埋もれていたポケットの入り口が開いて、キャビティの大きさが247オングストロームから649オングストロームに拡大した。これにより、炭素鎖の伸長反応がさらに進行して、本来5分子のマロニルCoAを縮合する酵素が8分子のマロニルCoAを縮合して、全く異なる構造を持った非天然型の化合物を生成することを明らかにした。
今回明らかになった立体構造に基づいて、活性部位キャビティの大きさや活性中心アミノ酸残基の配置を変化させることで、これまでにない新たな活性を持った酵素タンパク質と非天然型ポリフェノールの創製が可能になる。すでに研究グループは、9分子のマロニルCoAを縮合して新たな骨格を持ったポリフェノールを生産する非天然型酵素の創出に成功している。こうした非天然型化合物には、様々な生理活性が予想され、抗ガン剤など新たな医薬品の開発が期待される。
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