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統合制御可能な量子ビット、独自原理で実証に成功
【IT】発信:2007/05/28(月) 09:01:37
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〜量子コンピューター実現へ前進〜
NECと科学技術振興機構(JST)、理化学研究所の研究グループは、量子コンピューターにおける演算プロセスの実現に必要な、2つの量子ビット間の統合制御を行う独自原理を考案し、その実証に成功した。
同グループは超伝導量子ビットと呼ぶ固体素子を用いた量子ビットの研究開発を進めており、これまでに1ビット、2ビットの量子制御には成功していたが、ビット間をつなぐ制御技術がまだなかった。今回は、その量子ビット間の結合を、新たなもう一つの量子ビットを間に入れて行う新原理を開発し、その動作に世界で初めて成功した。この新技術は、量子アルゴリズムに従った量子演算を初めて可能にするもので、量子コンピュータ実現へ向けて大きな前進となる研究成果である。成果の詳細は、米科学雑誌「サイエンス」の5月4日号に掲載された。
量子コンピュータは、現在の古典物理学に基づくコンピューターに比べ、飛躍的に高い計算能力を持つ将来の計算機として期待されている。量子コンピュータによる計算は、量子アルゴリズムに従い、複数の量子ビットの状態を時系列的に外部から変化(制御)させることで行う。
量子コンピュータの実現には、その構成要素である量子ビットの量子状態を制御する技術と、量子ビット間の情報のやり取りを、ダイナミックにオン/オフするビット間の結合制御技術の2つが必要である。
これまでの研究で実現されている量子ビットとしては、原子や分子を用いた微視的な量子ビットと、固体素子を用いた巨視的量子ビットに大きく分類される。前者は研究が比較的進んでいるが、量子コンピューターとして実現するのに必要な、多くの量子ビットを集積することが困難とされている。それに比べ、固体素子の量子ビットは、今日の半導体集積回路で蓄積された高度な技術により、集積化という点で非常に有利だと考えられている。
しかし、固体素子では、個々の量子ビットの物理的な配置が固定してしまうなどの理由で、量子ビット間の結合制御を、量子ビットの量子状態を乱さずに実現することは極めて難しいとされている。
今回の研究グループは、超伝導の量子ビット(磁束量子ビット)を使い、量子ビット間結合を制御するメカニズムとして、2つの磁束量子ビット間の結合を、間に入れたもう1つの磁束量子ビットで実現する「可変結合2ビット量子演算回路」という独自原理を考案し、量子状態を乱さずに量子ビット間の統合制御に成功した。
同回路は、回路パラメータを最適化することで、結合用量子ビットを、量子ビット間の磁気結合のオン・オフで切り替えできる非線形な磁束トランスとして、動作させるものである。オン・オフ切り替えにはマイクロ波を用いており、実際にマイクロ波を入力するだけで、量子ビットの状態を乱すことなく、結合を制御できることを実証した。
新原理の「可変結合2ビット量子演算回路」は、1量子ビットと2量子ビットの操作を、この1回路だけで実現できるのが特徴だ。今回は実際に1ビット制御、2ビット制御を同回路で成功させた。さらに、同回路で1ビット2回、2ビット1回という3演算ステップも試して実証した。この演算をさらに複雑化していけば、アルゴリズムをつくれるようになるという。
今後は、さらに演算ステップを多くして量子アルゴルリズムの実行に取り組んだり、量子ビットのさらなる集積化をはかる予定だ。
今回の研究成果は、JSTの戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)のうち、研究領域「量子情報処理システムの実現を目指した新技術の創出」の研究課題「超伝導量子ビットシステムの研究開発」で実現したものである。
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