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レーザー光測定の限界を超えた感度で光位相測定に成功
【その他】発信:2007/05/30(水) 08:35:01
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〜量子もつれ合い状態にある4個の光子を用いる〜
北海道大学電子科学研究所の竹内繁樹准教授らは、量子もつれ合い状態にある4個の光子を用いて、古典理論による従来のレーザー光測定の限界を超えた感度の光位相測定に世界で初めて成功した。距離を正確に測ることは様々な観測・観察の基本となる技術だけに、今回の成果は大きな意味を持つ。4日のサイエンスに掲載された。
重力波検出や位相差顕微鏡など、さまざまな分野で光学干渉計は使われているが、これらの測定精度は、理論的限界「標準量子限界」があった。しかし、光子を量子論的にもつれ合わせることによって、標準量子限界をはるかに超える測定精度を実現できるようになる。
この研究は80年代から進められているが、実際に量子もつれ合わせによって標準量子限界を超えた観測ができたのは、大阪大学のグループが02年に成功しただけで、その時は光子2個で標準量子限界の1.06倍の測定感度を実現した。測定感度は光子の数を増やした方が上がる。ウィーン大学や中国科学技術大学などのグループは光子4個での測定に挑戦したが標準量子限界を超えることができていない。
今回研究グループは、光子4個が互いにもつれ合った状態を高精度に作り出すことに成功し、さらに非常に安定な光干渉計を開発することで、3個以上の光子では初めて標準量子限界を超える感度での光位相測定に成功した。感度は標準量子限界の1.11倍。
まず、4個の光子が、同じ時間、同じ位置、同じ方向で入射されているかどうかを、量子干渉の結果を直接観察する新手法を開発した。
今回の実験では、非線形光学結晶中でパラメトリック下方変換を起こし、4個の光子を発生させているが、この方法では4個の光子はまれにしか発生しないため、一つの実験を長時間行う必要がある。数時間にわたって数十nm程度の誤差で光経路を維持しなければならないため、Sagnac干渉計を改良し、2つの経路の光が全く同じ鏡で反射されるようにした新しい干渉計を開発した。
こうした実験系の開発によって、光子を2個ずつ入力し、2つの出口の一方は3つの光子を出力し、もう一方が1つの光子を出力した時に、4光子干渉縞が光の波長の4分の1の波長になっていることを確認した。また、この干渉の正確さを定量的にあらわす明瞭度が91%±6%となっており、標準量子限界である83%を上回っていることも確認できた。少なく見積もっても1.11倍の測定感度になる。
また研究グループは2光子の場合の実験も行っており、阪大の1.06倍を上回る1.36倍の感度を実現し、量子論的な理論限界であるハイゼンベルク限界に近い精度を達成した。
今回の研究成果によって、これまでの限界を超えた計測技術が開発できる可能性が示された。将来、1万個の光子のもつれ合い状態を実現すれば、標準量子限界の100倍の測定精度を実現できる。また単一の細胞など、照射できる光量が限られている場合に強力な観察ツールとなることが期待できる。
竹内准教授は「4個の光子の場合は、出力側の3と1を同時に逆から見れば、すぐに精度は上がる。また、8個の光子もつれ合い状態までは現在の延長線上で研究を進められると思うが、10個以上になった時には新たなブレークスルーが必要になる」と話す。
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