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京大の森教授等、神経伝達物質放出の分子メカニズムを解明
【バイオ】発信:2007/06/04(月) 09:00:14
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〜「認知」の解明等に期待〜
神経細胞から次の神経細胞へ情報が伝わる「神経伝達」は、運動調節や記憶、学習、感情など高次脳神経系の機能には必須の生体内情報伝達メカニズムであるが、京都大学工学研究科の森泰生教授、清中茂樹助教は、この「神経伝達」において前シナプスから後シナプスへ、電気活動に応じて神経伝達物質が放出される際の分子メカニズムを初めて明らかにした。
これまで、神経伝達物質は電位依存性Ca2+チャネル(VDCC)を経由したCa2+流入が引き金になって起きることが知られていたが、今回の成果は、RIM1とCa2+チャネルのβサブユニットとの結合が、Ca2+チャネル近傍にシナプス小胞をつなぎとめ、かつ持続的なCa2+流入を可能にするという分子メカニズムを解明したものである。同成果は、5月13日(現地時間)に「ネイチャー・ニューロサイエンス・オンライン版」で公開された。
「神経伝達」は、神経細胞間の接合構造である『シナプス』で、神経伝達物質と呼ばれる化学物質により仲介されて行われる。この伝達は、神経伝達物質が一方の神経細胞(前シナプス)から、標的細胞(後シナプス)へ放出されることによって進行していく。その際、神経線維を伝播してきた電気的活動に正確に反応するため、前シナプスからの神経伝達物質放出は厳密な制御を受けている。
神経伝達物質は前シナプスのシナプス小胞に貯留されるが、そこから効率的に伝達物質を放出させる神経細胞内構造として、アクティヴゾーンが最近注目されている。アクティヴゾーンでは、シナプス小胞、電気的活動に反応してCa2+チャネルと、そのCa2+に反応して、シナプス小胞から神経伝達物質を放出させる分子装置として働く、タンパク質群が集合していると考えられている。
森教授等は今回、このアクティヴゾーンにおいて、RIM1と呼ばれるタンパク質と、Ca2+チャネルのβサブユニットとの会合体が、神経伝達物質を貯留するシナプス小胞を、電位依存性Ca2+チャネル近傍につなぎとめる役割を担っていることを突き止めた。
この結果から、アクティヴゾーンでは、Ca2+チャネルがRIM1と会合することで、電位依存性Ca2+チャネルによるCa2+流入が持続され、すぐ近傍のシナプス小胞から神経伝達物質が十分な量放出されて、「神経伝達」が維持・増進されるとことが分ったと、森教授等は考えている。
森教授の話「今回の成果は、神経細胞の電気的活動を神経伝達物質の放出に連関させるという、神経伝達に関する最も基本的な分子メカニズムを明らかにしたものである。また、非常に興味深いことに、RIM1タンパク質に変異を有する、かん体錐体ジストロフィーという遺伝性眼疾患患者において、認知機能が増進すると言う報告がなされており、今回の成果は『認知』というような高次脳機能の解明等にも結びつくと期待される。さらには、Ca2+チャネルとRIM1との会合を維持させるメカニズムの研究により、認知症などにおいて見られる神経伝達物質放出の減少を抑え、症状を改善させるような薬剤の開発にも結びつくことが期待される」。
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