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ソフトフォトニック結晶を用いたフルカラーディスプレーの開発
【その他】発信:2007/06/07(木) 08:53:56
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タンパク質のように特定の物質を選択的に分子認識できるゲルを、300nm程度の粒径の揃ったシリカの球状粒子を鋳型にして調製していたときに、得られたゲルがぼんやりと色づいている。その原因がシリカの球状粒子が周期的に並んだ状態をゲル内部に象ったことによって、ゲルが“構造由来の発色能(構造色)”を備えていたこと。この知見を元に名古屋大学大学院工学研究科の竹岡敬和準教授の研究グループは、ソフトフォトニック結晶を用いたフルカラーディスプレーの開発に成功した。
同グループによると、構造色を示すポーラスゲルに、光に応答して異性化する色素(アゾベンゼン誘導体)を導入すると、色素の異性化状態に応じて構造色が変化するゲルが得られた。このゲルにマスクを介していろいろな形で光をあてると、光が照射された部位にのみ、色を変えることができたという。竹岡準教授は「神経を伝わる電気信号によって細胞内に存在する周期構造を変化させることで構造色を変える魚の存在を知り、微弱な電流で構造色を制御することに興味を持ちました」と成果に至るきっかけを話す。
これまで液晶などを利用した系での結果では、色を変えるためには数10から数万Vという非常に大きな電圧印可が必要であり、その色の変化も可視光全域を網羅するものではなかった。同グループでは、電解質型ゲルを用いることで、乾電池一本程度の電圧を印可することで、可視光全域において発色性の切り替えが可能となった。また、色の変化を引き起こすために必要な電流量も非常に少ないので、低電圧、低電流で変調が可能なシステムが構築できるとしている。
ただ、同グループの系でも、発色性に角度依存性がある。発色性が切り替わるのに要する時間が長い。溶媒が蒸発してしまうといった問題点もあるが、生物などの構造性発色は、微細な周期構造(規則構造)による光の干渉を用いているだけでなく、微妙な不規則性や色素の利用などによって、特定の色を際だたせたり、発色能に角度依存性がない状態を作り上げている。また、非常に早い発色性の切り替えを行う生物も現存する。
竹岡準教授の話「今後は、生物から学んだ性質を導入していくことで、色のコントラストがはっきりとした角度依存性の少ない構造色発色能を示す材料の開発に取り組んでいく予定です。また、最近、研究が盛んなイオン液体というものは、常温常圧ではほとんど蒸発することのない溶媒ですので、このような液体を利用することで我々の系をより実用化へ近づけることが可能となります」
※ソフトフォトニック結晶とは。その語源は、ソフトマテリアルとフォトニック結晶の合成語。ゲル、液晶、界面活性剤の溶液など、沢山の分子からなり、それらの分子間に熱エネルギーに拮抗するような相互作用があることで、柔らかく複雑な振る舞いをするものがソフトマテリアル。一方、屈折率の異なる二種類の物質を、光の半波長程度の周期で交互に並べると、その波長の光の存在が許されないフォトニックバンドギャップが作り出される。このギャップを持つ材料をフォトニック結晶を呼ぶ。
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