「産学連携」では、最近のテクノロジーの動向、企業・大学の技術開発の動き等をタイムリーに紹介していきます
|
|
|
 |
テラヘルツ波の分光技術、西洋古典絵画の材料識別に活用
【その他】発信:2007/06/08(金) 08:13:09
|
〜赤外分光より容易〜
情報通信研究機構(NICT)は、東北大大学院農学研究科の協力を得て、テラヘルツ波を利用した西洋古典絵画における顔料などの分光技術を開発した。この技術を用いて、基本となる顔料および展色材100種類以上のテラヘルツ波スペクトルを取得し、ほとんどの顔料にいわゆる「指紋スペクトル」があることや、混色時の材料の識別が、従来の赤外線分光より容易であること等を明らかにして、テラヘルツ波の分光技術が古典絵画の材料識別に有力な手段であることを確認した。今後はさらに顔料や展色材のデータベース化を進め、順次公開していく。
テラヘルツ波は、0.1テラヘルツ(Tz)から10Tz程度の周波数帯の、光と電波の中間に位置する電磁波。これを用いた分光は、分子そのものの性質を反映するため、X線や赤外線などの分光技術と比べ、物質固有の情報が得られやすく、次世代分光技術として注目されている。
西洋古典絵画は、色素となる無機、有機の顔料を、主に有機物の展色材を用いて木、布、漆喰等の上に描いたもので、ほぼ全ての作品には何層もの修復の歴史の跡がある。そうした絵画の分析には、従来から分光技術が用いられてきたが、X線は無機材料、赤外線は有機材料に適しているものの、混合物そのものとしての分析は困難であった。
一方、テラヘルツ領域では、各種の顔料と展色材の間でスペクトルに大きな違いがあるので、非破壊分析が可能となる。また、実際の作品に使われた材料の分析には、顔料、展職材のデータベース構築が必要不可欠となる。
そこで、NICTでは昨年末から、古典顔料を中心に絵画や彩色彫刻の顔料、および展色材のテラヘルツ分光を東北大大学院農学研究科とともに進め、データベースの構築に着手した。 材料はランビエンテ修復芸術学院の協力を得て入手した、FirenzeのZecchi社の純正品を基本とした。その結果、今回100種類以上の顔料のスペクトルを取得した。
これは、テラヘルツスペクトルのデータベースとして、顔料では世界初、また規模では最大のデータベースとなる。
顔料スペクトルの一例として白をあげると、白については19世紀に亜鉛化合物が作られるまで鉛白が用いられてきた。最近では、チタン化合物が多く使われている。これらは全て異なるスペクトルを持ち、肉眼では同じ白に見えても、テラヘルツ波で見れば、どこにどの時代の顔料が使われたか等が非破壊検査でわかる。
つまり、そのデータは作品の歴史を明らかにするとともに、絵画修復家が材料を選択する際に有益な情報を提供することとなる。 また顔料や展色材は、絵画だけでなく食品、薬品等にも利用されているので、データベースはこれらの安全安心にも役立つ。
NICTは今後、データベースを充実させていくほか、混合物のスペクトル解析や、実際の作品へ応用できるテラヘルツの反射波を用いた測定装置などの開発を推進していく。さらに、データベースについて様々な分野への拡充をはかり、テラヘルツ波技術の産業展開、国内外の研究連携を促進していく予定である。
|
| |
知財情報局または情報提供各社による記事の無断転用を禁じます。
|
|
|
| Copyright 2002 Braina Co., Ltd. All Rights Reserved.
|
|