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アレルギー疾患の発症機序発見、新治療薬開発に可能性
【バイオ】発信:2007/08/21(火) 08:19:49
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理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターの谷口一郎チームリーダー、直江吉則研究員らは、アレルギー疾患を引き起こすインターロイキン4(IL4)の産生をランクス転写因子が抑制することを発見した。研究グループは、研究の過程で自然にアレルギー症状を起こすモデルマウスを開発しており、今後、アレルギー疾患薬の開発などにも役立ちそうだ。米国の科学雑誌The Journal of Experimental Medicineの8月6日号に掲載された。
身体に細菌やウイルスなどの抗原が入ってくると、リンパ球の一種であるヘルパーT細胞が、1型ヘルパーT細胞(Th1)と2型ヘルパーT細胞(Th2)に分化する。Th1は、インターフェロンγを産生して細胞性免疫機能を発揮、ウイルスなどに対抗する。Th2は、インターロイキン4や5を産生し液性免疫によって寄生虫などを防ぐ。
Th1とTh2の免疫応答はバランス良く調整されているが、そのバランスが崩れてTh1が強くなると自己免疫疾患になり、Th2が強くなるとアレルギーになる。転写因子によって、Th1、Th2のどちらに分化するかが決まるのだが、研究グループは、その一つであるランクス転写因子ファミリーに目を付けた。谷口チームリーダーが米国時代にT細胞の分化マーカーとして研究していたこともあるが、白血病や胃ガンの原因の一つとも言われており、様々な疾患を制御している可能性があるからだ。
研究グループは、T細胞でのみランクス転写因子の機能を欠損するマウスを作製した。身体全体でランクス転写因子が働かないとマウスが生きられない。ランクス転写因子ファミリーには、ランクスの1〜3とCbfβがあり、両者が結合することでその機能を発揮する。今回の研究では、ランクス3、Cbfβをそれぞれノックアウトしたマウスを作製した。
T細胞におけるランクス転写因子欠損マウスは、血中IgEが高くなり、ヒトの喘息とよく似たアレルギー様疾患を自然に発症した。特にCbfβ欠損T細胞からは、過剰なインターロイキン4(IL4)が産生していた。IL4が過剰になると、B細胞がIgEを過剰生産しアレルギーが誘発される。
次に、ランクス転写因子とIL4産生との関連を調べたところ、IL4遺伝子にあるサイレンサー領域(遺伝子の発現を抑制する領域)にランクス転写因子が結合することで、IL4遺伝子の発現を抑制していることがわかった。Th1細胞ではランクス転写因子がサイレンサー領域に結合し、Th2細胞ではランクス転写因子が結合しない。
さらに、Th2細胞でのみ発現するGata3転写因子をTh1細胞で強制発現させたところ、Th1細胞でIL4が産生された。Gata3が発現することで、IL4のランクス転写因子とIL4サイレンサーの結合が解除されてしまうからだ。
こうしたことから、ランクス転写因子が中心となるIL4産生の抑制メカニズムを分子レベルで解明することに成功した。アレルギー疾患の新たな発症機序を発見したことになる。
また、今回作製したT細胞のみでランクス転写因子がノックアウトされたマウスは、これまで強制的にアレルギー疾患を起こさせていたマウスと異なり、アレルギー疾患を自然発症することから、アレルギーモデルマウスを樹立したことになる。新たなアレルギー薬の評価やさらなる病態解明につながるものと期待される。
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