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荷電パイ中間子対生成過程の高統計測定でスカラー中間子構造研究
【その他】発信:2007/08/29(水) 08:11:51
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現在、低エネルギー領域での量子色力学(QCD)の予言能力は限られ、特にスカラー中間子の存在や構造の詳細は数十年来謎のままになっている。スカラー中間子とは、パイ中間子と同じくスピン角運動量がゼロ(自転していない粒子)で、パイ中間子とは異なりパリティが正(空間反転に対し符号を変えない)の中間子である。パイ中間子と同様にスカラー中間子がクォークと反クォークからできているとすると、QCDはその質量が1.5GeV/c2=1500MeV/c2(陽子の質量の約1.6倍)以上と予言する。
ところがそれよりかなり軽いf0(980)やa0(980)などのスカラー中間子の存在が実験的に確立されており、その構造をはじめ、なぜ存在するのかについては未だに理解されていない。名古屋大学高エネルギー物理学研究室の森隆志研究員、神奈川大学工学部の部渡邊靖志教授らの研究グループは、スカラー中間子等の崩壊により生成された荷電パイ中間子対を、その全断面積(生成確率)や角度分布を従来の実験の数百倍の高い統計精度で測定する実験に成功した。
実験は高エネルギー加速器研究機構の電子・陽電子衝突型加速器KEKBとBelle検出器を用いて行われた。その結果、これまでの2光子過程測定ではヒントとしてしか見えなかったf0(980)中間子による構造を明確に捕らえることができた。そのエネルギー領域を理論モデルにフィットして、f0(980)中間子が2光子に結合する強さを測定し、その値をQCDの予言値などと比較した結果、f0(980)中間子が2つではなく4つのクォークからできていることを支持する結果を得たという。
森研究員によると「Belle実験では本来想定されていない運動量領域での測定となるため、トリガー効率を正確に見積もるのが大変困難であった」という。最終的には別の反応を用いた補正をすることによってこれを解決し、一方で、測定したf0(980)中間子の2光子幅等を解析する作業も一筋縄ではいかなかったが、Amplitude Analysisという手法を開発したMike Pennington教授(イギリスDurham大学)の協力を得て解析を進めることができたとしている。
森研究員の話「Amplitude Analysisでf0(980)中間子等を解析するにはγγ→π+π−と同時にγγ→π0π0反応の断面積等が必要となる。この断面積は現在解析中である。また、Belle実験は将来統計量をさらに約2桁増強するSuperB実験へと発展する計画であり、粒子識別能力も現在より高くなるよう設計されているため、さらに高精度な結果が期待できる」
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