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高圧力下の核磁気共鳴で見えた2次元スピン系の新しい秩序状態
【その他】発信:2007/09/03(月) 08:07:37
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ストロンチウム銅ホウ酸化物SrCu2(BO3)2は、常圧低磁場では銅イオンあたり1個の電子スピンが対の中で打ち消し合う非磁性状態にあるが、強い磁場をかけると部分的にスピンが揃い磁化が発生する。全てのスピンが揃う最大磁化は未だ実現されていないが、磁化の値がこの最大値の1/8、1/4、又は1/3に達すると、ある範囲内で磁場を変えても磁化が変化しない、量子磁化プラトーとよばれる状態が現れる。
東京大学物性研究所の瀧川仁教授の研究グループは、グルノーブル強磁場実験施設と共同で銅原子核の核磁気共鳴実験を行い、1/8磁化プラトー状態では1/8の割合の銅イオン対上でスピンが磁場方向に揃い、それらが結晶中で規則的に配列した”超周期構造”が現れることを明らかにすることに成功した。さらに同グループの和気剛COE研究員らは、同じ物質に対し約2万4千気圧でホウ素原子核の核磁気共鳴実験を行い、絶対温度3.6Kより低温で共鳴線が分裂し、別の磁気的状態に転移することを見出した。
瀧川教授によると「この物質は数年前に量子磁化プラトーが発見されて世界的に興味を呼んだが、高圧下で別の量子状態に転移する可能性が予想されており、既に今回の実験よりも低い圧力領域でエネルギーギャップが減少するという変化の兆しが見られていたが、実際に得られた結果は予想とは異なるものであった」という。
ホウ素原子核の核磁気共鳴によって電子スピンの状態を知るには、磁場中で単結晶試料の方位を正確にコントロールする必要がある。超伝導磁石の中で約0.1度の精度で方位制御できる圧力セルを開発したことが、今回の成果につながったとしている。今回見出された状態は、もともと等価であった銅イオン対が相転移を経て自発的に2種類に分かれて超周期構造を作るという点では、磁化プラトー状態に似ている。ただ、どの銅イオン対上でもスピンが完全に揃っているわけではなく、実験結果は”磁場によってスピンが揃いやすい”磁気的ペアーと”揃いにくい”非磁性ペアーの2種類に分かれることを示している。
滝川教授の話「今回見出された状態が、どのような磁場・圧力領域で存在するかを示す”相図”を決定する。特にゼロ磁場下でも低温で何らかの秩序状態が発生するのか、もしそうならばその状態の微視的な”秩序変数”は何であるかを知ることが重要である。様々な磁場や圧力における核磁気共鳴や構造解析の実験を進めると同時に、この物質に対応するモデルの理論的解析を進めるべく、理論家の協力を仰ぐ必要がある」
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