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高速量子鍵配送実験に成功、システム実用化に期待
【IT】発信:2007/09/07(金) 08:38:36
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日本大学量子科学研究所の井上修一教授らの研究グループは、正弦波形電圧でゲート動作させたアバランシェフォトダイオード(APD)を使って、非常に高速な量子鍵配送の実験に成功した。実用的な装置を用いた実験で、これまでの30倍以上の鍵配送率を実現したことで、量子鍵配送システムの実用化が進みそうだ。米国物理学会のApplied Physics Lettersに掲載される。
近年、既設の光ファイバー網を使用した量子鍵配送実験が世界各国で行われている。日本初のフィールド実験は、02年の日本大学による学内LANを使った実験で、その後、三菱電機や日本電気による研究開発用ネットワークJGNUを使用した実験も行われた。しかし、量子鍵配送における通信距離や通信速度(鍵配送率)は実用レベルには至っておらず、実験室レベルでの長距離化、高速化に関する研究が精力的に進められている。
量子鍵配送における通信速度の世界記録は、波長情報変換ベースの単一光子検出器を使用したNTTとスタンフォード大学の共同実験だが、この実験で使用された光子検出器は偏光依存性や高効率時に発生するノイズ等の課題を抱えている。
研究グループは昨年、光通信波長帯のインジウム・ガリウム・ヒ素系アバランシェフォトダイオード(APD)をベースにした単一光子検出器で、従来の10メガヘルツを大きく上回る800メガヘルツの繰り返し動作に成功した。通常用いられる長方形型のゲート電圧を、正弦波型のゲート電圧にすることで低ノイズ化を図り、高い繰り返し周波数を実現した。つまり、電圧印可方式の変更と簡単なフィルタの追加のみで検出器の高速化を実現した。そのため、実用面で大きな優位性を持っている。
今回、研究グループは、このAPD単一光子検出器を用いて、非常に高速な量子鍵配送実験に成功した。通信系には、NTT物性科学基礎研究所が開発した差動位相シフト鍵配送システムを使用し、基本クロック500メガヘルツで実験を行った。この実験系で、15kmの光ファイバーを通信路としてシフト鍵配送率1・5メガビット/秒、安全鍵配送率0.33メガビット/秒を実現した。また、最大通信距離は65km程度まで可能であることも今回の実験で明らかになった。
今回の実験で得られた鍵配送率(通信速度)は、これまで報告されてきたAPDベースの単一光子検出器を用いた量子鍵配送実験における通信速度の30倍以上。波長上方変換ベースの単一光子検出器を使用した世界記録は、通信距離10kmでの鍵配送率が0.46メガビット/秒であることを考えると、今回の通信距離15kmでの実験は、APDベースの実用的な単一光子検出器を使用したのにもかかわらず、世界記録に等しい結果を得たことになる。
今回の実験結果は、数十kmの比較的短距離においては、実用レベルの量子鍵配送が可能であることを意味している。研究グループでは今後、メトロネットワークにおける量子鍵配送システムの早期実現を目標に、単一光子検出器の低雑音化を目指していくという。
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