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透明の電波吸収体を開発、UHF無線タグの反射波防止用
【IT】発信:2007/10/04(木) 11:19:38
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〜薄型・軽量化も同時に実現〜
武蔵工業大学と叶V日本電波吸収体は、従来にない透明な電波吸収体を共同開発した。これは、透明プラスチック材料と透明導電シートを積層して実現したもので、薄型化、軽量化も同時に実現することに成功した。物品管理などに便利な無線タグ(RFID)の中でも、普及が期待されるUHFーRFID用の周波数帯を吸収する電波吸収体として開発したものであり、透明なので人間の視界を遮らず景観や採光を悪くすることもない。
武蔵工大の岡野好伸・准教授は「UHFーRFID利用で問題となる反射電波を防ぐ電波吸収体壁としてどこにでも設置が容易となるため、UHF−RFIDの普及拡大につながる」と期待する。商品化について、新日本電波吸収体の荻野哲・社長は「注文があれば今でも出荷に応じられる」としている。
バーコードに代わり、物品管理などに普及が期待されている無線タグの中でも、UHF帯電波を用いたUHFーRFIDは、電波が長い距離を飛ぶため使い勝手がよく便利である。しかし、室内などでは電波が反射して、別の想定していない場所のタグ情報を誤って読み込んだり書き換えてしまう心配があり、それが普及妨げの要因となっている。
この問題を解決するには、電波のエネルギーを熱に変えて反射を抑える電波吸収体の壁を活用する方法がある。金属板やコンクリートなどの電波反射体があると、そこへ入射する電波は反射電波と干渉して、エネルギーレベル分布が高低を繰り返す模様を示す。
これを利用して、炭素が含まれたプラスチック板や紙、抵抗の大きい金属薄膜などの抵抗性物質を、その高エネルギー部分に置くと、そこに電流が流れて抵抗性物質がわずかに発熱する。つまり電波のエネルギーが熱となって消費されるため、反射が抑制される。これが、熱に変えて反射を少なくする電波吸収体の仕組みである。
しかし、干渉によりできる縞模様の間隔は使用電波の波長で決まり、最も薄いものでも波長の4分の1必要なため、電波吸収体の厚さは7〜8cm必要で重くなってしまうという問題があった。一方、従来のフェライトなどの磁性材料などで作った電波吸収体は薄くできるものの、非常に重いとか壊れやすいなど扱いに難しい面があった。また、これらは全く光を通さず人間の視界を遮ってしまうため、壁などに使うと安全確認や景観・採光を悪くしてしまう欠点があった。
今回開発した透明薄型軽量電波吸収体は、そうした問題を解決する画期的な電波吸収体である。武蔵工大では、金属板の上に金属小片を平行に並べて配置すると、その隙間に電波エネルギーが集中することに着目。電波反射体の全面に、導電性シートの反射板とパッチ状シートを積層したものを置くことで、電波反射体の近くに高エネルギー部分をつくり、そこに抵抗性物質を挿入することによって、厚みを薄くすることに成功し薄さ2cmの電波吸収体を実現した。
さらに、今回は導電性シートとして従来のアルミ箔の代わりに透明導電性パッチシートを使用し、抵抗性物質にはインジウムースズの金属薄膜を用いて、電波吸収体の構成材料を全て透明化した。
これらによって、2cmという薄さ、フェライト材の10分の1から15分の1の軽量化、そして透明化という3つの利点を実現した。
今回の電波吸収体は、UHFーRFIDの反射防止を用途に開発したもので、UHF(950MHz帯)の電波の反射を100分の1程度に抑制してしまう吸収能力をもっている。また電波吸収体の厚さを変えずに、パッチシートの大きさだけで吸収できる電波の周波数を変えられるので、無線タグのほかにも、病院での携帯電話機による医療機器誤作動防止などにも利用可能としている。
価格は既存の電波吸収体(1平方メートル当たり3万円程度)の3倍程度と高価になりそうだが、吸収体の一部に窓を開けるような使い方を工夫すれば、コスト面でも実用できるとみている。(科学、9月/21号1面)
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