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光ナノ共振器のQ値、世界初の動的制御に成功
【ナノテク】発信:2007/10/09(火) 09:01:11
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京都大学大学院工学研究科の野田進教授、田中良典研究員、大学院学生のJeremy Uphamさんらは、光ナノ共振器の光閉じこめ性能(Q値)を世界で初めて動的に変化させることに成功した。ネイチャー・マテリアルズ電子版に9月2日掲載された。
光ナノ共振器は、光を一瞬の間止めておいたり、蓄積するといった機能を持っており、将来的には光を用いて量子演算を実現するなど、次世代の光科学の進展にとって欠くことのできない重要な要素であり、いま世界中でしのぎを削って開発が行われている。
野田教授らは最近、一辺0.0015mmの極微小空間に、約2ナノ秒間、光を閉じ込めることに成功し、ナノ共振器のQ値として世界最大の200万を達成した。次の重要な課題は、こうした高いQ値をもつナノ共振器へ光を自在に出し入れすることだ。
Q値の大きなナノ共振器が開発できると、光をより長く閉じ込めることが可能になるが、半面、光を導入するために、より長い時間がかかるようになる。つまり、高Q値ナノ共振器はそのままでは、ゆっくりと光を導入し、ゆっくりと光を放出させることしかできない。
これまで、このQ値を動的に変えるための概念すらなかったが、野田教授らは新たなに基本概念を提唱すると共に、その基本動作の実証に成功した。これにより、光を一瞬、極微小域に蓄えておく光メモリーチップや、光と物質との相互作用の増大を利用した量子演算素子などの作製に向けて、重要な一歩を踏み出したことになる。
Q値を動的に制御するための基本概念は次のようなものだ。ナノ共振器には通常、光を出し入れするための導波路があり、そのQ値は、ナノ共振器からの自由空間への光の漏れと、ナノ共振器から導波路への光の漏れで決まる。自由空間への光の漏れは、ナノ共振器の構造で決定されるため、動的制御は難しいが、導波路への光の漏れは、周りの環境で変化させることができる。
つまり、導波路の途中に反射鏡を置き、反射された光波が漏れ出た光と同じ位相を持っていれば、同位相の時は光は強くなり、逆位相の時は弱くなる。これによって、共振器から導波路への光を強めたり弱めたりできる。
このような基本概念を実証するための具体的な構造として、ナノ共振器の端部の空気孔を僅かにシフトさせ、ナノ共振器近傍に導波路を設けた。さらに導波路の途中には、フォトニック結晶のピッチを変化させたヘテロ構造を用いた完全反射鏡を設置。理論的には、Q値を1500から5万まで変化させることが可能になる。この時、シリコンを材料に使えば、吸収可能なパルス・レーザーを当てることで屈折率を変えることができる。
研究グループは、コンピュータ上でシミュレーションを行い、良好な結果を得たことから、実証実験を行った。実証には、ポンプ―プローブ法を採用。完全反射鏡にピコ秒のパルスレーザーでポンプ光を入射し、光の反射率を変化させる。また、ナノ共振器にプローブ光を導入し、Q値の動的変化を計測した。
その結果、理論では、Q値の動的変化が1500から5万であったのに対し、実験ではQ値の変化は3000から1万2000という値が得られた。実験誤差を考えるとかなり良好な結果だといえる。
また、ピコ秒のパルスレーザーを利用することで、ナノ共振器のQ値を、ピコ秒という極めて短い時間の間に変化させることに成功した。これは、ナノ共振器に光を導入する時、Q値を低くしておき、光が入った瞬間にQ値を増大させるという極めて重要な動作に成功したことを意味する。(科学、9月/21号4面)
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