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光る有機ナノチューブの作製に成功
【ナノテク】発信:2007/10/15(月) 09:34:02
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〜DDSへの応用研究に光明、生体内での観察が容易に〜
産総研界面ナノアーキテクトニクス研究センター高軸比ナノ構造組織化チームの浅川真澄・主任研究員は、分子が自己集合して形成する有機ナノチューブ(オーガニックナノチューブAIST=ONT−AIST)に蛍光分子を取り込ませることで、蛍光を発光するナノチューブ(発光性ONTーAIST)を開発することに成功した。
正常な細胞への影響を避け、癌細胞だけを標的に薬物を運ぶ薬物送達システム(DDS)の材料として、産総研が開発したONT−AISTの活用が期待されているが、これまでONT−AISTが薬剤を取り込んで(包接して)運搬する状況を生体内で観察することが難しく、その性能評価ができず応用に至らなかった。
今回の成功でその観察が容易になることから、今後はDDSへの応用研究の道が拓ける可能性が出てきた。そのため産総研では今後、発光性ONTーAISTを投与した細胞などの生体内での観察を実施したり、そのDDSに関する研究をライフサイエンス系研究グループと共同で進めていく予定である。
ONT−AISTは、産総研が2006年に開発した量産型有機ナノチューブであり、実用化を目標に「オーガニックナノチューブAIST」の名称で商標登録している。ブドウ糖とオリーブオイルに豊富に含まれるオレイン酸を原料に合成した両親媒性分子が、自己集合によりチューブ状構造を形成している材料で、水中への分散性とタンパク質や核酸を内部に包接する能力に優れ、医療や健康、食品分野など幅広い応用展開が期待されている。
特に癌の化学療法の分野で研究が盛んな、癌細胞にだけ制癌剤を運ぶDDSの新しい材料として、両端が開いたチューブ構造体であり、その両端から薬剤を徐々に放出できるONT−AISTの応用が注目されている。
しかし、応用のためには性能評価が欠かせず、ONT−AISTによる薬剤包接・運搬の状況を、細胞などの生体内で観察する必要があったが、これまで生体内でONT−AISTを観察することは困難であったことから、なかなか応用の道が開けなかった。
今回開発した発光性ONT−AISTは、両親媒性分子が溶液中で自己集合する過程に、蛍光分子を加えることによって発光する有機ナノチューブを得たもので、ナノチューブの管壁中に蛍光分子を安定に埋め込んだ構造である。
産総研では、開発した発光性ONT−AISTを走査電子顕微鏡で観察した結果、蛍光分子はその管壁の膜中に安定に埋め込まれた構造で、中空構造は空のまま保持されており、そこに薬剤などを包接する能力は失われていないことが分かったとしている。
また、ONT−AISTの製造工程に一般的な蛍光分子を加えるだけという簡単な操作で合成できることから、発光色を変えることも容易であり、短時間、低コストで多彩な発光性ONT−AISTを作製できるという。今回は、蛍光分子としてローダミンBを使用した赤色、同じくローダミン6Gを用いた橙色、フルオレセインの黄色、ピレンの青色という4色の発光性ONT−AISTを試作している。
今回の研究は、科学技術振興機構の委託研究「戦略的創造研究推進事業発展研究(SORST)プロジェクト/平成17〜20年度」の一環で実施した。(科学、9/28号1面)
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