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東工大、新型超電導コイルによる電力貯蔵実験公開
【その他】発信:2007/10/17(水) 09:09:00
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東京工業大学総合研究院ソリューション研究機構の嶋田隆一教授と野村新一研究員らは9月13日、新型の超電導コイルによる電力貯蔵実験を公開した。
火力・水力・原子力など各発電施設で発電された電力は貯蔵することができないため、1年を通して最も電力消費が上がる時に合わせて施設が整備されている。それにより、年間の設備利用率(年負荷率)は60%前後でしかない。現在、夜間の余剰電力を利用した揚水発電によるエネルギー貯蔵法があるが立地等の問題で新たな揚水発電設備を作ることは困難な状態だ。
研究グループでは、揚水に代わる新しいエネルギー貯蔵技術として、超電導電力貯蔵(SMES)に着目した。超電導コイルと交流直流電力変換装置、冷却装置、断熱容器(クライオスタット)で構成される。超電導コイルに電流を流し続けて電気をそのまま貯蔵するため、高効率で応答速度が速いのが特長だ。
エネルギー貯蔵には、貯蔵に関与しない無駄な引張応力が発生するため、それを支える支持構造物が必要になる。従来のSMESで使用される超電導コイルは、円筒型の巻枠に超電導線を巻いていくものだが、支持構造物に圧縮応力が発生してしまう。そこで研究グループでは、ドーナツ型の巻枠に超電導線をらせん状に巻いていく電磁力平衡コイル型のコイルを作製。これにより、余分な電磁力を互いに打ち消しあい、発生する引張応力を最小化して、支持構造物の必要量を従来型コイルの半分以下まで低減した。
実験では、巻枠にはアルミニウム合金、超電導線にニオブ・チタン合金を用いた直径53cm、リング幅13cmのモデルコイルを使用した。学生が4ヶ月かけて手作業で巻き上げた。このコイルの理論限界値(Nb・Ti超電導線が超電導状態を示す限界値)は、コイル電流値552Aで7.1テスラになり、貯蔵エネルギーは270kJ。従来型のコイルでは、7テスラに耐えるため、導線を補強する必要があったが、今回のコイルは自身の引張応力で電磁力を支持できる構造になっている。
通電試験は2月から行われており、今回の公開実験では、これまでの最高値の437A、5.6テスラを記録した。実際のSMES装置は、保守点検の際に極低温冷却状態から常温にして検査が行われるため、再び運用する時に、装置の超電導特性を劣化させないことが重要となる。今後も、通電試験を続けて劣化を伴わない安定した繰り返し通電が可能か調査するという。
同グループでは、電磁力平衡コイルを用いた超電導電力貯蔵による都市型のSMES施設を提案している。例えば、都市の地下に輸送可能サイズである直径4m、リング幅1mの電磁力平衡コイル(貯蔵エネルギー540MJ)を多数配置して電力貯蔵を行う。完成したコイルを順次運用することで、エネルギーを段階的に拡張していくことができるという。
エネルギー貯蔵が普及すれば、今夏の電力危機のような事態を回避することが可能になりエネルギーセキュリティーを向上させることができる。しかし、一番重要なことは、電力消費者の我々がいかに効率よく電気を使うかということになる。(科学、9/28号4面)
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