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農研機構、産学官連携本部発足、成果の社会還元を加速
その他】発信:2007/10/22(月) 15:41:30  

  経済グローバル化が進むなかで、わが国農業・食品産業の競争力強化が強く求められている。さらに食の安全・安心の確保や地域環境の保全も、その重要度が増してきている。農業・食品産業技術総合研究機構(堀江武・理事長:以下農研機構)では、所属する15の内部研究所がこれまで行ってきた開発研究により得られた成果の社会還元をより一層加速するため、10月1日に西川孝一副理事長を本部長とする『産学官連携本部』と具体的に事務を担当する組織として『産学官連携センター』を発足させた。

  農産物でいえば消費の多様化、高度化が進み、農研機構としては、これまで農業生産に直接結びつく研究開発を主に行ってきたが、近年の社会情勢の変化に対応した技術的革新を進めて行くには、農業現場だけではなく、産業界との連携の強化を図ることが必要不可欠と判断。同本部は、これを実現する中心的な組織だ。

  発足に当たり産学官連携のあり方を検討するため、産業界等の有識者で構成する『産との連携推進に関する有識者検討会』(座長:山野井昭雄味の素株式会社顧問)を設置(平成18年11月)、今年1月に提言を受けた。その中で「農業・食品産業分野の特質から、常に”農業”と”産業”と”機構”の連携が重要。しかし、連携基盤が不足の背景として”農研機構の姿”が見えない」との指摘を受けた。このため、産学官の連携を効果的なものにしていく共通認識を構築するため、今年4月に準備室を設け、連携のあり方を探ってきた。竹森三治副本部長は「産業界との連携を図るには、産業界の意見を聞く場を設けることはもちろんですが、何といっても受ける側、機構の存在感をきちんと示すこと、これが大切だ実感しました」という。

  そのためには体制作りがキーポイント。国の研究基本計画に基づき取り組んでいる課題についての情報を、産業界に積極的に発信し、可能なものから速やかに具体的な連携の取り組みを進めていくことが重要である。組織的には、センターに対外的なファーストコンタクトの窓口を設けるとともに、産業界・農研機構双方のコミュニケーションを図るコーディネーターを配置する。さらに北海道から九州まで日本全国にある主要研究拠点にもコンタクトポイントを置く。竹森副本部長は「情報を持っていたとしても、企業がどこに問い合わせたらよいのかがはっきりしないことでは宝の持ち腐れです。窓口を設けスムーズに対処できるようにしていきたい」と話す。

  農研機構には、これまでの研究開発から生まれた豊富な財産(技術や品種)を持っている。これが大きな強みである。この一方で1つの品種を作るのに10年以上の年月がかかる。連携によって民間企業からいろいろな用途のニーズが出てくるが、そのニーズをいち早く吸い上げていかないといけない。将来を見通し、農業現場、消費者、産業界の要望を取り入れながら、新しい需要を開拓していく。同センターはまさに新しいアグリビジネスを創造し、発信していく役割がある。須田郁夫センター長によると「企業が欲しいといっても、すぐに揃うとは限りません。だから絶えず新しいニーズをつかんで、一歩前二歩前の研究素材を準備していくことが大切でしょう」という。

  従来の食は、生産現場と消費者がストレートにつながっていた。それが最近、食の多様化や健康志向なども加わり新たな研究開発が要望されている。しかし、実際に取り扱う研究開発素材がないと対処できない。これまで培ってきた豊富な資源を武器に新しいアグリビジネスを創り出すということが重要となる。つまりそれは農業現場と産業界が結びついた形で、新しい産業を構築していくことにほかならない。それが日本の農業、農業現場の活性化にもつながる。ただ、農研機構の守備範囲は広い。扱う対象は、動植物から食品、農業機械等々。それだけに関心のある民間企業もかなり多くなる。これまでに農研機構では、テーマを絞った連携交流セミナーを開き、機構の姿を提示、企業からは「短時間に凝集した情報が得られる」との好評を得ている。

  須田センター長は、「すでにこれまでに企業から有望な問い合わせがかなり来ています。我々の仕事で大変なのは、どこの企業とどのような課題で共同研究を行うかです。要望されるニーズの機密保持を守りつつ研究テーマを交通整理し、さらに将来性、技術力などを考慮して決めることになります」と強調した。(科学、10月5日号1面)



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