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骨量と脂肪のバランス、メタボ予防・治療薬の開発
【バイオ】発信:2007/11/30(金) 20:47:48
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東京大学分子細胞生物学研究所の加藤茂明教授、高田伊知郎助教、大竹史明JST研究員らは、細胞外分泌タンパク質Wnt5aが、脂肪細胞を増やす作用を持つPPARγ(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体γ)の機能を制御することで、生体内の骨量調節を行っていることを明らかにした。メタボリック・シンドロームなどの予防・治療薬の開発につながることが期待される。
骨組織では通常、骨を作る骨芽細胞、骨を壊す破骨細胞などのバランスによってその強度が維持されている。しかし、老化や肥満、2型糖尿病などのメタボリックシンドロームでは、骨芽細胞を作るもとになる間葉系幹細胞が骨芽細胞よりも脂肪細胞へより多く分化してしまい、骨の強度が低下することがある。そのため、脂肪細胞への分化を抑制し、骨を作る骨芽細胞を増やすメカニズムの理解が求められている。
研究チームは、脂肪細胞を増やす作用を持つPPARγに着目。PPARγ遺伝子欠損マウスでは、脂肪細胞が減少し骨量が増加する。そこで、PPARγの転写活性化能を指標として、その機能を抑制する因子を探索した。
具体的には、骨芽細胞や脂肪細胞に分化できるマウス骨髄由来間葉系幹細胞(ST2細胞)を用いて、PPARγ機能を抑制する因子を探索。すると、細胞外分泌たんぱく質Wnt5aが細胞内リン酸化酵素CaMKII、TAK1/TAB2、NLKを順に活性化することで、PPARγ機能を抑制することを発見した。また、ST2細胞やWnt5a遺伝子欠損マウスを用いた結果からも、骨髄内に存在する間葉系幹細胞でWnt5aの濃度増加が骨芽細胞を増やし、Wnt5aの濃度減少が脂肪細胞増加につながることが分かった。
さらに、Wnt5aで活性化されるリン酸化酵素群によるPPARγ機能の抑制メカニズムについても検討。細胞内にNLKを強発現させ、NLKとPPARγ双方に結合する因子を質量分析計で同定した結果、ヒストンH3のメチル化酵素SETDB1や、メチル化修飾を受けたヒストンと相互作用するたんぱく質CHD7を見出した。これらはWnt5aシグナル依存的に核内でPPARγと相互作用し、本来PPARγが作用するべき遺伝子のmRNA合成が抑えられることがわかった。
つまり、骨芽細胞分化促進作用を示すたんぱく質Wnt5aは、核内のヒストン修飾を制御することで、脂肪細胞分化促進たんぱく質PPARγの機能を抑えることが明らかになった。
PPARγは脂肪細胞増殖機能を持つ半面、メタボリックシンドロームを治す作用も持つ、二面性のあるたんぱく質であることが分かった。そのため、PPARγ機能を強くもなく、弱くもなく維持することは、健康を維持するために重要だと考えられる。今回の研究で同定したWnt5aやNLK、SETDB1の活性を調節できるような薬剤を開発すれば、肥満の防止や骨強度の増強に役立つ可能性がある。(科学、11月2日号1面)
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