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Bs中間子の粒子反粒子 振動を初めて観測
【その他】発信:2007/12/31(月) 19:28:27
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筑波大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)はこのほど、米フェルミ国立加速器研究所のテバトロン加速器を利用して進められている大型国際共同実験(CDF)で、Bs中間子の粒子反粒子振動の観測に成功したと発表した。CDF実験は、日米科学技術協力事業の1つとして開始されたもので、現在は亜・米・欧から60の研究機関が参加する国際共同実験として実施されている。わが国からは筑波大を中心に、大阪市立大、岡山大、早稲田大、KEK、京都教育大、近畿大、長崎大、福井大の9機関が参加している。
粒子反粒子振動はこれまで、K中間子とB中間子のみで観測されてきた。これらはそれぞれ、ストレンジクォークとダウンクォーク、ボトムクォークとダウンクォークが結合した中間子である。「CP対称性の破れ」という現象を説明するために6種類のクォークの存在を指摘した小林益川理論によると、ボトムクォークとストレンジクォークの結合で形成されるBs中間子では振動数が高く、観測が困難であることが予言されていた。
今回得られたBs中間子の粒子反粒子振動の角振動数の測定結果は、17.33毎ピコ秒(振動数約2.8兆ヘルツ)で、これは、これまでの予測値と矛盾せず、はるかに測定精度が高い。振動がないときの観測に伴う統計的ゆらぎでこのような観測結果が得られる確率は0.5%にすぎない。つまり、今回の実験でBs中間子の粒子反粒子振動が観測された確率は95.5%に達する。
3世代6種類のクォークが電荷の変化を伴う弱い相互作用をするとき、アップ、チャーム、トップがダウン、ストレンジ、ボトムと結合するが、このとき世代間の混合が起きる。その混合の様子をそれぞれのクォークが結合する3行3列の行列で記述したものは小林益川行列と呼ばれているが、Bs中間子の粒子反粒子振動の振動数測定は、この行列のトップとストレンジの結合を高精度で決定するうえで重要な役割を果たすものであり、今後の小林益川理論の検証には不可欠な測定だという。
CDFプロジェクト開始当時の日本側実験代表者であった近藤都登・早大特任教授は「Bs中間子では2つの質量固有状態の質量差は非常に大きく、その振動数は測定不可能というのがこれまでの常識であったので、今回の測定結果には驚いた。CDF実験の当初の目的は、標準理論の検証と標準理論を超えた物理の探索であったが、テバトロンによるCDFおよびDゼロ実験は、当初予測できなかったほどの成熟期に入り、トップクォークの質量の精密測定や新粒子・新現象の探索でも、今後新しい成果が得られるものと期待している」と述べている。また、小林益川理論を発表したうちの1人、小林誠・KEK素粒子原子核研究所前所長は「Bs中間子の振動は長く結果が待たれていたものであり、すばらしい成果だと思う。Bファクトリーでの結果と併せて、CP対称性の破れの理解がさらに進むことを期待している」とコメントした。
さらに、岩崎洋一筑波大学長は「筑波大学は27年前に近藤教授(当時)が日本側の実験代表者となって以来、陽子反陽子実験で主導的な役割を果たしてきた。大規模な国際共同実験の一員として測定器の開発やトップクォークの発見でも極めた重要な貢献を続けてきたが、今回、CDFグループが陽子反陽子衝突の特徴を最大限に活かして、粒子反粒子振動に関する新たな実験結果を得たことは大変すばらしい成果だと思う」と語っている。
テバトロン加速器とCDF実験は今後3年間でデータ量を8倍にまで増加させていく予定で、測定の精度をさらに向上させることにより小林益川理論の検証がさらに進むものと期待されている。
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