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コケゲノムを解読、陸上植物進化に関与
【バイオ】発信:2008/01/09(水) 08:19:09
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日・米・独・英など6ヶ国が共同で行う『ヒメツリガネゴケ・ゲノム国際コンソーシアム』は、コケ植物のヒメツリガネゴケのゲノム解読に成功。ほぼ全体となる約5億の塩基配列を決定した。
基礎生物学研究所や金沢大学、国立情報学研究所ら日本の共同研究グループでは、完全長cDNAの配列を決定し、約3万6000の遺伝子を発見した。陸上植物の進化過程で、植物の形作りや環境応答に必要な植物ホルモンや乾燥耐性の関連遺伝子、遺伝子の効率的な修復機構に関わる遺伝子などが生み出されてきたことがわかった。サイエンス12月14日号(オンライン版)に掲載された。
植物が上陸する前の地上は、動物が生活できない過酷な環境だったと言われている。約5億年前、水中で暮らしていた藻類の中で、陸上の環境に適応した能力を備えたものが生まれ、陸上植物の祖先となった。その後、陸上植物は能力を洗練していく。植物の能力は、遺伝子の進化によりもたらされたと考えられるが、遺伝子のどのような変化が特別な機能を創りだしたのかはわからなかった。
コケ植物は、植物が陸上に上がった直後に、花が咲く植物(被子植物)の系統から分かれた。これまで被子植物のシロイヌナズナやイネなどのゲノム配列が解読されているが、これだけでは陸上植物全体の共通性を知るには不十分だった。そのため、被子植物と最も離れた系統である陸上植物のコケ植物と被子植物、水中の藻類の全遺伝子(ゲノム)を比較することで、植物の陸上環境適応に重要な遺伝子の発見に迫ることが出来るという。
対象となったヒメツリガネゴケは、多細胞生物の中で最も簡単で安価に遺伝子操作を効率よく行うことができる特長を持つ。今回、このコケゲノムのほぼ全塩基配列と働いている遺伝子がわかったことで、すでにゲノムが解読されている被子植物と似た遺伝子を持っていることがわかった。これらの中に植物の陸上進出に必須の遺伝子が含まれていると考えられるという。
また、被子植物が持っている乾燥耐性遺伝子や、オーキシンやサイトカイニンと言った植物ホルモンや光受容体に関する遺伝子もほとんど持っていることがわかった。さらに、遺伝子を修復する機能を持つ遺伝子が、他の生物と異なったシステムで働いていることも明らかになった。ゲノムの安定性に関わる修復遺伝子のうち3つは、被子植物よりも藻類や動物に似ている配列を持つという。
今後は、ヒメツリガネゴケが持つ乾燥耐性や再生能力、放射線超耐性などの機能解明を行い、陸上植物の進化に関与した遺伝子の解明を行っていくという。また、コケ植物が被子植物と似た遺伝子を持っていることから、互いの遺伝子を入れ替えることで、環境に適応した作物を作出する農林業応用や地球環境対策に役立つと期待される。被子植物で見つかった重要な遺伝子の解析に遺伝子操作が簡単なヒメツリガネゴケを、生きた試験管として用いることも考えられるという。(科学、12月21号4面)
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