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ナノ空間中ヘリウムの局在、ボース―アインシュタイン凝縮
【ナノテク】発信:2008/03/07(金) 00:25:26
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〜局在BECで新秩序〜
液体ヘリウム(4He)は、十分低温になると、摩擦なしの流れ(超流動)が起こる。通常の流れ(常流動)と異なる、この超流動は、巨視的な数の4He原子がエネルギーの最も低い状態を占有する、いわゆる”ボース―アインシュタイン凝縮(BEC)”に伴われる現象である。BEC状態は一つの巨視的な量子力学的な状態で、古典力学的に見て十分遠方に離れている2つの4He原子も、量子力学的に見ると互いに強く影響を及ぼし合っている状態。それだけに4Heをnmサイズの微小な細孔に閉じ込めると、超流動特性はどうなるか…。
慶應義塾大学理工学部白浜圭也准教授の研究グループは、直径2・5nm の細孔がランダムかつ3次元的につながったナノ空間ネットワークを持つ多孔質ガラスの中に閉じ込めた4Heの超流動の性質を検証。その固体相・常流動相・超流動相間の境界を決定し、相図の全体像を明らかにすることに成功した。特に、超流動相の高温側に隣接する領域に、”局在したボース―アインシュタイン凝縮”の発生による新規な秩序状態が超流動の前駆現象として現れていることを見出した。
ナノ細孔空間中の4Heは、まず、P=0でのTc はバルクのTc よりもずっと低くなるが、特に加圧することでさらに大きく減少し、臨界圧力Pc≡Pc(0)=3.4MPa(34気圧)で絶対零度に到達する。この0K近傍の転移の特性を明らかにするため、定積圧力と熱異常の測定から固体液体転移(凝固・融解)温度を精密に決定し、相図を確定した(図)。その結果、ナノ細孔空間中の4Heにおいては、超流動相と固体相の間に超流動を示さない非超流動相が0Kまで存在することがわかった。
さらに、低温では、この非超流動相と固体相の境界線の温度に対する傾きが、高温でのそれに比べて著しく小さいことから、両相のエントロピーの差も、低温できわめて小さいことがわかる。この非超流動相は高温側の常流動相とは異質なものであり、この相を”局在したボース−アインシュタイン凝縮状態”であると解釈できるとしている。すなわち、ナノ多孔体中の4Heでは、細孔への閉じ込めポテンシャルが強いため、細孔径程度のサイズの局所的なBEC状態が多数生じているものの、それらの間の位相(量子力学的な相関)が揃っていないため、全体としては一つの巨視的な量子力学的状態になり切れていないという状態である。
慶應義塾大学理工学部の白濱圭也准教授の話「液体ヘリウムでは極低温で摩擦なしの流れ、超流動が起こる。ヘリウムをナノサイズの極微細孔に閉じ込めかつ密度を増すと、超流動とは異なる新しい量子現象が現れる可能性がある。今回の実験(ナノ多孔質ガラス中ヘリウムの圧力測定)により、超流動が起こるより高温で新しい状態が現れることを見出した。この状態は、ナノスケールで超流動が部分的に壊された局在したボース・アインシュタイン凝縮状態であることがわかった。この新しい量子状態は、銅酸化物高温超伝導体でよく知られている擬ギャップ状態などと似た性質を持つため、今後は固体内電子との比較研究などの多彩な研究展開が期待される」
この研究は、日本物理学会発行の英文学術誌Journal of the Physical Society of Japan (JPSJ)の2008年1月号に掲載された。
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