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英文論文誌着々電子化、編集・公開作業を効率化へ
【IT】発信:2008/03/31(月) 13:06:25
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これまで日本の英文論文誌の電子化は、紙媒体を電子化することや投稿・査読・出版における電子化そのものに主眼がおかれていたが、これからはそうした作業の『質』を向上させる段階に入ってきた。日本化学会は印刷会社等と共同で、不特定多数の著者がワードで作製した英文論文の引用文献情報や書式などを自動的にチェックし、世界標準となっているXMLデータを生成することで、編集・公開作業を大幅に効率化しつつデータの質を向上するシステムを開発、今年中に運用を開始する。事務局の負担を減らすことができるほか、超早期公開などより質の高いサービスを提供することも可能になるため、他の学会にとっても朗報となりそうだ。
現在、電子ジャーナルに掲載されている論文は、PDF、テキスト、htmlなど、多様なデータで構成されているが、そうしたデータを作成するのには大きな手間が必要であり、時間とコストがかかっていた。
査読が終了し公開が決定した論文のワードファイルは、まず、書式がその論文誌のフォーマットに合っているかどうか、あるいは参考文献の巻数やページ数などが正しいかどうかなどのチェックしなければならない。特に電子化されてからは、引用文献へのリンクが必要になるため、こうした情報の正確さは非常に重要だ。
これまで、こうした校正、チェック作業は、事務局の手作業で紙原稿に赤を入れる形で一つ一つ行われてきたが、今回ワードにプラグインしたInera社のeXtylesというソフトに様々なルールを教え込むことで半自動化できるようになった。
このソフトを利用すると「慣用表現ではあるが科学的には間違っている表現を修正」「姓と名の順番」「アメリカ英語からイギリス英語への変換」など、ジャーナルの記述スタイルにあった修正を適用できる。あるいは余分なスペースや改行などを取り除き、スタイル付けをしてXMLの構造に変換することもできる。これらの数百を超えるルールは半年かけて策定した。
その結果、従来の赤字入れ作業は、4分の1程度にまで軽減できる見込みだという。さらに参考文献リストの論文が実際に存在するのかどうか、巻数、ページ数は正しいのかを自動的にPubMedやCrossRefのデータベースを参照して確認できるので、これまで公開後数日かかっていた、PubMedやCrossRefなどへのリンク情報の確認も出版前にできるようになった。
さらに組版段階でも、このXMLを従来の出版システムに取り込むと半自動組版を行うことができ、誌面用のデータを修正すると同時にXMLも修正されるため、図の大きさや位置なども含めて“簡単”に著者の要望に応えられるようになった。これは電子ジャーナルデータと印刷用データを同じにするために重要な点であり、スピードを高めコストを抑えるためのポイントになっている。
入稿から初稿まで10日かかっているところを、3日程度にまで短縮できる見込みという。また事務局スタッフの機械的な負担が軽減されることで、より見やすい・読みやすいといった“質”を向上させるために労力を割けるようになる。
こうした一連の作業でできあがるのが、米国国立医学図書館が策定し、学術論文出版の世界でデファクトスタンダードとなっているNLMdtdに準拠したXMLファイルだ。こうしたファイルを作成することで、検索用データを他の2次情報データベースなどに提供することが容易になることや、将来論文データ構造のスタンダードが変わったとしても、その変換手法が簡便に入手しやすくなることが期待できる。また、簡単にPDFやhtmlに変換できるため、例えば最終的に確定する前段階で、早期公開する生物系の学会などでは、このシステムを使えば超早期公開も可能になる。
化学会では現在、システムのチェックなどを行っており、来年1月号からの適用を目指し年内にこの英文論文誌にシステムを運用開始する。
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電子ジャーナルは、より早く、より便利にと、日々進化しているが、日本のジャーナルの多くはそうした世界の状況についていけていないのが現状だろう。
最近、海外大手出版社では、NLMdtdに準拠したXMLファイルに対応するため、電子ジャーナルのプラットフォームをリニューアルしている。またネイチャーやニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンなどでは、既にeXtylesを使用して掲載論文の質向上に取り組んでいる。
一方、日本を見てみるとJ―STAGEはXMLを受け入れられる体制にはなく、また科研費の研究成果公開促進費は未だに出版物ベースの考え方にとどまっている。世界標準になるために政策のリニューアルが必要だろう。もちろん、投稿論文の質向上は前提条件だが…。(科学、3月21日1号面)
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