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単一物質で熱膨張ゼロのセラミック開発
【その他】発信:2008/04/14(月) 08:14:00
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理化学研究所と科学技術振興機構は、室温を含む70度C幅にわたる温度領域で熱膨張がゼロとなる、単一の物質でできたセラミックの開発に成功した。理研中央研究所の竹中康司客員研究員(名古屋大准教授)と高木英典主任研究員による成果。
研究グループが開発したのは、マンガン窒化物だけで構成した「単一物質ゼロ膨張」セラミック。従来と比較してゼロ膨張を保つ温度範囲が広く丈夫な上、製造コストも抑えられるという。精密加工用機械・部品などへの利用が見込まれる。成果は3月26日から武蔵工業大で開かれる日本金属学会08年春季大会で発表された。
一般に固体の物質は温度が上がると体積や長さが大きくなる熱膨張が起きるが、ナノメートルレベルの高精度が求められる半導体デバイス製造や精密加工機器などの分野ではゼロ膨張材料が求められている。現在主流のガラス系ゼロ膨張材料などは複合材料のため歪みやすく負荷が強くかかる用途には不向きで、価格も高かった。
竹中客員研究員らは05年に「逆ペロフスカイト」という構造を持つマンガンの窒化物Mn3XNが、構成元素の亜鉛(Zn)、Ga(ガリウム)や銅(Cu)の一部をゲルマニウム(Ge)で置き換えると、室温で大きな負熱膨張を持つ事を発見。構成元素の組合せや比率を変えることで、単一組成の物質として熱膨張特性を制御できることがわかっていた。
今回、組成に加え作製時の温度や窒素ガス濃度を調節。Ga、Geは高価なため、より安価なCu、Znでの代用を試みた。具体的にはXに位置する元素の置換と、窒素の一部を炭素で置換する複合置換を行った。構成元素の調整だけでは一定の温度範囲でゼロ膨張を維持できなかったため、作製時の処理温度をこれまでの800度Cより高温で行ったところ、ゼロ膨張が実現できたという。また、窒素成分が少ないガス中で熱処理するとゼロ膨張が実現できることも明らかにした。一般的に熱処理の温度を上げると脱窒素が起きるため、このことが低膨張化に関わっていると見られる。
この結果、単一組成のマンガン窒化物だけで室温付近に70〜80度Cの幅を持ったゼロ膨張を実現した。高価なGaやGeを含まない、作製プロセスが簡素であるなど低コストでありながら、硬く丈夫で、金属的な電気・熱伝導性を持ち合わせる環境に優しいゼロ膨張材料が作製できた。
理研はこの負熱膨張性マンガン窒化物の国際特許を出願済み。試薬メーカーと共同開発した研究用試薬が昨年からすでに発売されているという。(科学、3月28日号1面)
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