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世界最長、最高速の量子暗号鍵配送、都市圏敷設ファイバーで達成
【IT】発信:2008/05/01(木) 23:30:24
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情報通信研究機構(NICT)は、道路沿いに敷設された実際に使用されている光ファイバー回線を用いて、量子暗号鍵を世界最長の97kmかつ従来比100倍の最高速で配送することに成功した。従来の量子暗号研究は、ほとんどが実験室内の理想的な環境で行われていた。今回は、道路沿いに敷設された実環境の光ファイバーを用いて実験したにもかかわらず、達成した性能は、従来の実験室内での記録に比べても10倍上回っている。NICTでは、数年以内に政府安全保障レベルの量子暗号鍵配送システムを実現するという目標が、射程圏内に入ってきたとしている。
インターネット上で現在一般に使われている暗号技術は、公開鍵暗号と呼ばれる方式だが、これは新しい解読法が発見されたり、コンピュータ能力が飛躍的に向上すると解読される危険性がある。
そこで、将来的に技術が進歩しても絶対に破られることのない次世代暗号技術として、量子暗号が注目されている。量子暗号では、微弱な光が持つ粒子(光子)の物理的性質を暗号鍵として利用する。光ファイバーを使い、情報の送り手と受け手であらかじめ暗号鍵を共有して、この鍵を使って情報を暗号化する。
誰かが鍵を盗むと光子の状態に必ず痕跡が残り、受け手が盗聴を必ず検知できる仕組みである。この鍵の共有技術を、特に「量子暗号鍵配送」と呼んでいる。 しかし、絶対安全な量子暗号の実現には、光子を制御する高度な技術が要求される。実際の敷設光ファイバーで量子暗号鍵配送を実現するには、時々刻々変動する条件のもとでも、送り手から受け手へ正確なタイミングで光子を安定に伝送し、雑音の影響を抑えて正確に光子を検出できる技術の開発が欠かせない。
今回は、実際の敷設光ファイバーで97kmにわたり、絶対安全性を保証する「おとり信号付きBennettーBrassard84」と呼ばれる暗号方式を用いて、1秒当たり700ビットという世界最高の鍵生成速度を達成した。これは、従来の敷設光ファイバー実験に比べると100倍以上の性能向上である。
これらの性能改善は・向上は、伝送途中における光子への擾乱をうまく相殺し、高い明瞭度で光子の暗号鍵を判定できる平面光回路量子干渉計や、従来より高速かつ極めて低雑音で光子を検出できる超伝導単一光子検出器、また一本の光ファイバーの中で、光子の伝送を邪魔せずに、送り手と受け手で正確にタイミングを合わせる、量子波長分割多重伝送技術などを開発して実現した。
今後の実用化に向けては、暗号システムの動作を一層安定化させ、鍵生成速度を現状の1000倍程度へと向上させねばならない。NICTでは、そのために必要な技術課題が今回の実験で明確になり、政府安全保障レベルの量子暗号鍵配送システムの実現目標が射程圏内に入ってきたと見ている。今後も、NICTが中心となり、関係機関と連携して装置の小型化・低コスト化を進め、実用化に向けた研究開発を加速させていく予定だ。(科学、4月11日号4面)
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