「産学連携」では、最近のテクノロジーの動向、企業・大学の技術開発の動き等をタイムリーに紹介していきます
|
|
|
 |
国内に眠る都市鉱山発掘へ、人工鉱石化リサイクル
【その他】発信:2008/05/08(木) 09:04:29
|
物質・材料研究機構の原田幸明・元素戦略クラスター長、産業技術研究所の小林幹男・環境管理技術研究部門副研究部門長らは、3月27日の資源素材学会春季大会で、都市鉱山を発掘するための人工鉱石化リサイクルを提案した。
人工鉱石化リサイクルは、これまで回収→抽出として捕らえられ、抽出の部分での付加価値が注目されていたリサイクル工程の中に、濃縮というプロセスを積極的に位置づけて技術投入することで、抽出しやすい付加価値の高まった再資源化原料を提供するというもの。カギとなる濃縮について、産業技術総合研究所や物質・材料研究機構の技術で対応できるという。日本国内に大量に眠っている都市鉱山を掘り起こす起爆剤となるのか、今後の展開が期待される。
提案の第一は、これまでのリサイクルにおけるミッシング・リンクである「濃縮」工程を取り入れて、マテリアル・チェーンをつくるというもの。
現在のリサイクルは、回収と抽出からなり、分離は抽出の前工程として考えられている。マテリアル・チェーン・リサイクルは、この分離を天然の鉱山に例えるなら「鉱石化」つまり「濃縮」工程として積極的に位置づけ、循環物の価値を上げる新たな経済主体の参入を促進する。
こうしたマテリアル・チェーン作りは、自治体などでの回収から抽出・再生に至る取り組みにも優れているという。リサイクルは、資源(発生源)の偏在、技術の偏在、需要の偏在を解決する必要があり、これまで技術と需要の偏在の間は結びつけやすかったが、資源との間にある大きな隔たりが課題だった。そこに中間的な濃縮工程を分散的に配置することで、この偏在の間をつなぐシステムを構築できるという。
製造工場は資源の重要な発生場所であり、最終製品に近い中間廃製品も人工鉱石化プラントの処理対象になり得るが、首都圏近くのベッドタウンも、消費済資源の発生場所であり、それらの近くに濃縮工程として人工鉱石化プラントを設置すると、消費端からの回収・輸送・抽出サイトへの中継基地としての機能も持つ。
こうしたマテリアル・チェーンのカギになるのは「濃縮」を受け持つ都市鉱石工場だ。
これまでのリサイクルでは、大量の都市鉱山の中でも抽出しやすい部分だけが定常的に供給され、量的な広がりに欠けていた。また、分離が廃棄物処理の観点から進められているため、「濃縮」機能が弱く、分離物が抽出側の受け入れ形態と合致しない価値の低いものとして取り扱われるケースも多かった。
マテリアル・チェーン・リサイクルでは、抽出と回収の間に抽出指向の濃縮工程をおくことで、抽出までの流れを円滑にし、幅の広い領域からのusedストックをもとに抽出側に安定した性状の循環物の供給ルートを形成することができる。さらに、製品情報などを活用したプロセス設計で、その濃縮工程を小型化できれば、分散型プラントとして消費端の近くに置くことも可能になる。
この技術的可能性は、産総研の選択破砕技術と物材機構のピンポイント分離技術によって示されているという。
選択粉砕技術は、粉砕される部品や材料に含まれる成分の物性に応じて粉砕産物の粒度に違いが生じる現象を利用し、粉砕物の分級と組み合わせて内容物の分離を行う技術。選択的に粉砕させたい物質の破壊特性や存在形態(場所や境界面の状態)に応じて、作用させる圧縮、衝撃、剪断、摩擦等の強さや時間を制御することで、特定の物質のみの優先的な破壊を実現させる。
ピンポイント分離技術は、部品中から必要なパートだけを取り出すのに有効な技術で、基盤からチップ取り外しなどに効果があると期待される。ある種の特殊液状物質をはんだ接合部に塗布することで、はんだを加熱溶解する必要なく接合部から取り外すことができる。
提案では、これらの技術を発展させていくとともに、都市鉱石化に必要な技術開発が必要だとしている。(科学、4月11日号4面)
|
| |
知財情報局または情報提供各社による記事の無断転用を禁じます。
|
|
|
| Copyright 2002 Braina Co., Ltd. All Rights Reserved.
|
|