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高出力緑色レーザー、共振器なしで発生
【その他】発信:2008/05/12(月) 13:38:23
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物質・材料研究機構の栗村直・主任研究員、東京大学新領域創成科学研究科の三尾典克・准教授らのグループは、共振器なしで高出力の緑色レーザーを発生させることに成功した。物材機構が独自に開発した定比組成タンタル酸リチウム(SLT:ストイキオメトリックLiTaO3)に高効率波長変換デバイスを作製し、東京大学で開発した高品質高出力レーザーを使うことで、共振器なしで16Wの連続緑色光を実現した。緑色レーザーの応用範囲が、レーザー加工などのハードな分野にも広がりそうだ。5月に開催されるレーザー・電気光学国際会議で発表される予定。
緑色レーザーは、目に対する視感度が高く、三原色の一つとしてエンターテイメントや写真印刷などで実用化されている。最近では、リアプロジェクション型テレビにも用いられている。
半導体レーザーには緑色波長域のものは存在しないため、緑色レーザーを得るためには、赤外のレーザーを波長変換するのが一般的だ。従来、レーザーの波長変換デバイスは効率が低かったが、周期的な分極反転構造を導入するQPM(疑似位相整合:Quasi Phase Matching)方式の採用により、その特性が大きく向上し高い効率が得られるようになった。
しかし、レーザーの吸収に伴い発生する熱によって温度が上昇するため、高出力領域では出力が制限されている。この問題を解決するためには、廃熱に有利な熱伝導率の高い材料が必要になる。
物材機構ではこれまで、高熱伝導材料であるSLTで波長変換デバイスを作製し、数W程度の出力を実現してきた。今回、廃熱型波長変換モジュールを作製し、デバイスからの廃熱特性を改善して、高出力に適したモジュールを開発した。
東京大学では、干渉計型重力波検出器用に高品質レーザーの研究を行っており、横モード・縦モード共にシングルの注入同期型高出力レーザーを開発し、単一周波数・狭線幅発振で出力100Wを実現している。レーザーの線幅が広がると波長変換デバイスの効率が低下することも知られており、シングルモードレーザーは波長変換との相性が良い。
研究チームでは、このレーザーの高出力と縦・横シングルモード発振特性を利用し、これまでスタンフォード大学が持っていたCWシングルパス10.5Wの世界記録を50%上回る16Wの出力を安定的に得ることに成功した。レーザーシアターやレーザー加工への応用が期待される。
16Wの高出力が実現できたことから、少なくとも数Wクラスの出力では問題なく長時間動作するものと考えられ、数Wクラスでのデバイス寿命にはめどがついたという。今後、10Wを超える出力領域で信頼性試験などを行い、レーザー加工などへの応用を目指すという。さらに共振器が不要になったことで、振動に対する安定性が格段に増し、100Wファイバーレーザーの先端に波長変換モジュールをねじ止めした緑色レーザーの可能性も出てきた。
今回の成果は、携帯電話に搭載できるレーザープロジェクタ「マイクロプロジェクタ」など、新たな分野を切り開く光源としても注目される。(科学、4月11日号7面)
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