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重イオンビームを使って白いナデシコ作製に成功
【その他】発信:2008/05/16(金) 23:57:52
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理化学研究所仁科加速器研究センターの阿部知子チームリーダーらは、北興化学工業と共同で、リングサイクロトロンの重イオンビームを使って、従来の育種法では10年近くかかっていた育種年限をわずか3年でわい性ナデシコの花色改良に成功し、白花の新品種を作出した。
重イオンビームを使った突然変異誘発法は、従来のガンマ線照射やX線照射などの物理的変換処理や化学的な変異剤処理などの突然変異誘発による品種改良に比べ、植物に障害を与えない処理条件での遺伝子変異率が高く、傷つく遺伝子数が少ないため、変異の固定にかかる期間が短いという特性を持っている。研究チームではこれまで、ダリア、ペチュニア、バーベナ、トレニアで新品種を実用化しており、昨年10月にはサクラの新品種「仁科蔵王」の作製にも成功している。
北興化学工業がナデシコ育種家と共同開発したわい性ナデシコ「オリビア」シリーズは、全8品種あり、多彩な花色と花模様がそろっている。しかし、従来の交配や枝変わりでは変異に限界があり、花色以外の優れた特性を変えずに花色だけを変えることは難しく、特に白色で単色の品種を作り出すことはできなかった。
共同研究グループは、組織培養によって増殖した「オリビア・ホワイトアイ」の腋芽に、リングサイクロトロンで加速した炭素イオンを20〜80グレイ照射した後、照射済み腋芽を培地で伸長させて栽培評価を行った。
05年に照射し、06年7月に栽培用の苗床で開花した個体を調べたところ、約半数の個体の花色が変わっていたが、ほとんどの変異花はピンク色だった。炭素イオンを30グレイ照射した175個体と35グレイ照射した127個体からのみ、白色の花が咲く変異個体が見つかったため、それぞれ1個体、合計2個体を選抜し、その中で白色花を付ける枝を選び、その部分だけを切り取り、挿し芽増殖を行った。選抜と評価の作業を3回繰り返すことで、株全体で白色の花が咲く系統を作ることに成功。オリビア・ピュアレホワイトと命名し、新品種として登録出願した。
元品種の花色は複色で、白色の地色に、濃紅色の帯が同心円状に入り花弁は5枚だが、新品種の花色は白色の単色で花弁は5枚で四季咲き性の多年草。従来の優れた特性は持ったまま色だけを変えることに成功した。 今回の照射は、従来の重イオンビーム照射と異なり、生存率が低下する中線量照射であることから、稀少変異獲得のための中線量照射の有効性が示唆されたことになる。(科学、4月25日号7面)
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