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宇宙で最初に水分子ができる過程を解明
その他】発信:2008/05/19(月) 16:25:45  

  水(氷)は外惑星の衛星や彗星、地球表層などに存在し、惑星の形成、大気・海洋の形成、生命の誕生に本質的役割を果たしている。分子雲と呼ばれる温度が10K(−263度C)の星雲にも、H2O分子を含む氷からできている微粒子が存在しているが、分子雲の初期にはH2Oという分子はなく、気体としてはH、O、C、N等の原子が、固体成分としてはケイ酸塩鉱物だけが存在し、その後、長い年月を経て水分子が形成されたと考えられている。

  北海道大学低温科学研究所(北大低温研)の研究グループは、宇宙で最初に水分子(氷)ができる過程を世界で初めて実験で再現することに成功した。

  このような原子からどのようにして水分子が形成されたかについては、理論的なモデルから2組の表面反応が提案されている。

(1) O+H→OH、OH+H2→H2O+H
(2) O2+2H→H2O2、H2O2+H→H2O+OH

  同グループの香内晃・北大低温研所長によると「分子雲は太陽系の惑星を作るもとになった星雲で、そこでの水分子生成機構の理解は、太陽系や生命の起源を理解する上でも本質的に重要です。ただ、分子雲での水分子の生成に関する実験的な裏付けはこれまでありませんでした」という。

  そこで同グループは、極低温の分子雲の環境を再現できる実験装置を開発し、10Kの酸素分子(O2)に水素原子(H)を照射する実験を実施。反応(2)によって水分子が非常に効率的に(速く、早く)形成されることを明らかにした。成功したポイントについて香内所長は「低温の原子源の開発(原子フラックスを大きくできたこと)が重要なポイントで、これまでの実験が失敗していたのは、原子のフラックスが小さすぎたためです」としている。また、生成された水分子は、極低温のため蒸発せず、アモルファス氷になることも確認され、実際の分子雲の観測とよく一致した。

  香内所長の話「今後反応(1)や他の分子の生成機構も解明していく予定であり、今回の研究が太陽系の惑星や生命の起源を理解する上での突破口になると思います。これまでに私たちは、CO2,H2CO(ホルムアルデヒド)、CH3OH(メタノール)の生成機構を明らかにしましたので、残っている重要な分子は,多いものではNH3(アンモニア)CH4(メタン)で,少ないけれど重要なものは、生命関連分子(アミノ酸,核酸塩基,糖)などです」

  研究成果は、4月20日頃発行予定のオランダElsevier社のChemical Physics Lettersに発表された。(科学、5月2日号1面)



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