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光RAM実現へ道拓く、独自のフォトニック結晶で光共振器を開発
IT】発信:2008/05/20(火) 12:05:50  

〜メモリ時間150ナノ秒を達成〜

  NTTの物性科学基礎研究所・フォトニクス研究所は、シリコンより非線形効果が大きい化合物半導体InGaAsP(インジウム・ガリウム・ヒ素・リン)を用いたフォトニック結晶で、光閉じ込めの強い超小型光共振器を開発し、この共振器により光で動作する光ビットメモリとして、最長150nsという長いメモリ時間と、最低値40μWという、超小型で集積可能な光ビットメモリの動作を世界で初めて確認した。

  今後は、この共振器を使って光RAMの開発などを進める予定だ。光で動作する光メモリーが実現すれば、現行ルータに比べ、より高速・大容量かつ低消費電力な情報処理が可能な、光ルータ等の開発に道が拓ける。

  現在のインターネットに用いられているルータ等のネットワークノード部分には、エレクトロ技術の素子や回路が使われている。しかし、これらの素子等では高速化に限界があり、インターネットの急成長にともなう情報処理量の急増に追いつけなくなりつつある。

  一方、光を用いた素子や回路は、高速化は得意だが複雑な情報処理は苦手だ。特に光のままで動作できる光メモリが実現されていないため、現状では光のままの様々な演算処理ができない状況である。

  NTTの研究所が開発した光共振器は、独自のフォトニック結晶を用いたもので、厚さ200nmの半導体結晶に、直径200nmの空気穴を420nm周期で開けて三角格子状に配置した構造である。光が閉じ込められる領域の体積は、0.1μ立方メートルと極めて小さい。

  メモリ原理は、屈折率が光強度に依存して変化する「光非線形性」によってスペクトルがシフトする効果を利用している。共振器にバイアス光を流した状態で、出力光強度をメモリのビット情報として読み取る仕組みである。

  初期状態では、バイアス光の波長が共振器の共振波長から少しずれて、出力強度が低レベル状態となっている。これがメモリOFFの状態である。ここに、書き込み用の制御光パルス加えると共振器内の屈折率が変化し、共振波長がシフトしてバイアス光の波長に一致するため透過率が増加、出力が高レベル状態になり、メモリON状態となる。

  制御光パルスが消えてもON状態は持続し、書き込んだビット情報は正しく書き込まれる。消去用パルスでOFFに戻し、情報を消すこともできる。

  メモリ継続時間は最長150ns。これまでに同研究所がシリコン材料で作ったフォトニック結晶共振器の光メモリでは、最長でわずか2・5nsしか継続できず、メモリとしての利用は難しかった。今回は、その60倍も長くメモリ状態を持続でき、光メモリとして十分利用可能だという。

  また消費電力も最低値で40μW。シリコンの400μWに比べ、1/10と低消費電力である。さらに、このフォトニック結晶はアレイ化に適しており、メモリの集積化が可能だ。

  光メモリ技術としては、今回の技術以外に、半導体レーザーの出力光の強弱でON/OFFするもの等が研究されているが、素子サイズや消費電力が大きいこと、集積化が難しくRAM化が困難なことなどから、ブレークスルー技術が求められていた。(科学、5月2日号1面)



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