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植物の抗癌物質に対する自己耐性機構を解明
【バイオ】発信:2008/05/30(金) 16:35:07
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千葉大大学院薬学研究院の斉藤和季教授、山崎真巳准教授、スパート・シリカンタラマス研究員らは、植物由来の抗癌物質「カンプトテシン」に対する植物の自己耐性機構を解明したと発表した。カンプトテシンを生産する植物では、DNAトポイソメラーゼTに特異的なアミノ酸変異が起こることで耐性能を獲得していることが明らかになった。この変異はカンプトテシン耐性のヒト癌細胞でも見られたという。
癌治療に広く臨床で使われているカンプトテシンなど植物成分由来の抗癌物質は、植物と動物両方の細胞に共通する機構で抗癌作用を発揮しているため、効果的なヒト癌治療や治療薬生産に役立つと期待される。成果は米国科学雑誌「PNAS」オンライン版に4月28日掲載された。
カンプトテシンなど植物由来の抗癌物質の誘導体は臨床で薬として用いられている。これら抗癌物質は、いずれもDNA複製や細胞骨格タンパク質(チューブリン)の重合・脱重合などの細胞分裂に必須の機能を阻害することで抗癌活性を発揮している。
研究グループは、カンプトテシンを生産する日本の南西諸島などに原生するアカネ科植物「チャボイナモリ」の発現遺伝子の網羅的な解析および、DNAトポイソメラーゼTの遺伝子解析を行い、他のカンプトテシンを生産する植物や、生産しない類縁植物の解析結果と比較した。その結果、カンプトテシンを生産するチャポイナモリやリュウキュウイナモリ、キジュなどのDNAトポイソメラーゼTには複数の特異的なアミノ酸変異が起こっていることが明らかになった。いずれの生産植物にも共通していた変異は、臨床で得られたカンプトテシン耐性のヒト癌細胞のDNAトポイソメラーゼTで知られていた変異と同じだった。また、この変異アミノ酸残基は活性アミノ酸残基の隣に位置し、カンプトテシン−トポイソメラーゼTタンパク質−DNAの三者複合体の形成に必須なアミノ酸残基の変異であることも明らかになった。これ以外にもヒト癌細胞では見つかっていない新たな変異も発見されたという。
カンプトテシンは有機合成では収率が低く、生産植物からの抽出が一般的だが、木本植物のため繁殖・収穫までに多く時間を要している。今後は異種生物に耐性を導入することで、カンプトテシンが効率的に生産できる可能性がある。(科学、5月16日号4面)
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