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慢性炎症の原因タンパク質を解明、新たな抗炎症薬開発への成果
【バイオ】発信:2008/07/01(火) 14:02:20
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京都大学大学院工学研究科の森泰生・教授らのグループは、潰瘍形成などの慢性炎症の原因となっている血球中のタンパク質を解明した。炎症組織の損傷原因となっている単球・マクロファージからのケモカイン産生の原因が、活性酸素種(ROS:Reactive oxygen species )を感知してカルシウムイオンを流入させる、タンパク質の「TRPM2」チャネルであることを明らかにしたもので、新たな抗炎症薬の開発につながる研究成果だとしている。
「炎症」は本来、創傷や感染に対する生体応答であり、損傷部位に体液、タンパク質、血球細胞群を送り込み、障害性の物質を取り除くとともに、治癒回復を促進させるという「自然免疫」としての意義がある。
しかし、炎症は最も重大な疾病の一つであるとも認識されている。炎症部位で集積した血球細胞は、サイトカインというタンパク質を分泌し、様々な細胞に働きかけネットワークを形成している。その中で、炎症部位に好中球などの血球細胞を呼び寄せる(遊走させる) サイトカインを特にケモカインと言う。ケモカインの主な産生源としては、白血球中の単球・マクロファージが知られている。
一方、炎症部位においては、様々な細胞からROSが産生されており、異物除去に働くのと同時に、単球・マクロファージなどに働きかけケモカイン産生を誘導することが知られている。また、好中球は多くのROSを産生する細胞として知られており、慢性炎症時では好中球からの持続したROS産生により、炎症組織の損傷が引き起こされることも分かっている。
このように慢性炎症時には、単球・マクロファージからの過剰なケモカイン産生が好中球を炎症部位へ持続的に集積させ、炎症組織損傷の原因となっている。
そこで、こうした炎症の治療に役立てるため、森教授らは今回、単球・マクロファージにおいて、どのような分子メカニズムを介してROSによるケモカイン産生が引き起こされているかを明らかにした。具体的には、ROSを感知してCa2+を流入させるTRPM2チャネルが、単球・マクロファージのROSによるケモカイン産生に必須であることを示した。
また、TRPM2ノックアウトマウスの解析により、炎症時、特に潰瘍性大腸炎モデルマウスにおいては、炎症部位のマクロファージにおけるTRPM2によるケモカイン産生が、好中球の炎症部位への浸潤を惹起し、潰瘍形成等の炎症の増悪を引き起こすことを解明した。
森教授は「今後、TRPM2が新規抗炎症薬の創薬ターゲット分子になることが強く期待される。炎症の慢性化・増悪は、日常生活に大きな障害をもたらし、生命も危うくする最も重大な疾病の一つであり、今回の研究を基にした発症機構の解明と治療法の開発は大きな社会的効果をもたらす」と、研究成果の意義を話している。(科学、6月20日号1面)
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