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京大と日本IBM、未来の交通社会シミュレーションシステム開発
【IT】発信:2008/07/02(水) 17:27:21
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〜数百万台規模の都市交通も車両1台までミクロに再現〜
京都大学と日本IBMは、数百万台もの車両が複雑に影響しあう大都市圏の広範囲な交通を、車両1台1台の動きまでミクロにシミュレートする「大規模マルチエージェント交通シミュレーションシステム」を共同開発した。このシステムを活用すれば、様々なシナリオをもとにして、首都圏全域など広範囲の交通施策や都市計画を、多面的に検証できるようになる。同システムは、総務省の戦略的情報通信研究開発推進制度委託事業で開発した。
世界中の自動車台数は、現在約9億台(20055年現在)と推定されているが、大都市圏での慢性的な交通渋滞による経済損失の解消や地球温暖化防止が求められる中で、将来にわたり持続可能な交通社会を実現していくには、渋滞税の導入や集約型都市構造への転換、環境への配慮といった交通施策・都市計画を、多面的かつ効率的に評価できるシステムが必要である。
今回は、人間の意志や多様な運転特性を持つ運転者が、複雑に関係し合う都市圏の大規模な交通を詳細にシミュレートすることを目的として共同開発した。
具体的には、京大大学院情報学研究科の石田・松原研究室が、高齢者・若年者といった様々な運転者をモデル化するためのシステムを構築した。また日本IBM東京基礎研究所は、その多様な運転行動モデルに基づく交通を、大規模かつ高速にシミュレートするための、大規模マルチエージェントシミュレーション環境「IBM Zonal Agent-based Simulation Environment」と、大規模マルチエージェント交通シミュレータ「IBM Mega Traffic Simulator」を開発した。
この交通シミュレータは、仮想空間のドライビングシミュレーション実験結果から抽出された複数の運転行動モデルや車両の属性を取り込み、道路ネットワークや交通規制の情報を基に、数百万台規模の交通でもミクロにシミュレートできるのが特徴だ。
2007年10月に京都市で実施した社会実験「歩いて楽しいまちなか戦略」での交通量観測結果と、この交通シミュレータによるシミュレーション結果を比較したところ、同シミュレータの良好な再現性を示すことができた。
同シミュレータを活用すれば、例えば新規施設の開設や通行規制など様々な事象が、広域交通にどう影響を与えるか、そのために、どういった施策を実施すれば渋滞の少ない、人にも環境にも優しい社会を実現できるかを、多面的かつ効率的に検証できる。
また、モデルに多様な属性を付加していくことで、自動車の二酸化炭素排出量を抑制するための交通規制の在り方と、その際の都市全体における自動車二酸化炭素排出量、少子高齢化が進んだ10年後の交通状況など、様々なシナリオにおける交通状況をシミュレートすることが可能である。
実行基盤の「IBM Zonal Agent-based Simulation Environment」は、PCサーバーのプロセッサー1台あたり数十万から数百万のエージェント(運転者のモデル)を用いた、マルチエージェントシミュレーション環境を提供でき、プロセッサーの追加でさらに大規模なシミュレーションも可能にする。また同基盤上では交通シミュレータのほか、避難誘導、排出量取引市場、オークション等の各シミュレータを稼働させることもできる。(科学、6月20日号4面)
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