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日中豪を結びeーVLBI実験に成功
その他】発信:2008/07/16(水) 11:56:36  

〜観測データ変換して高速伝送、NICTが新ソフト開発〜

  情報通信研究機構(NICT)は、オーストラリア国立電波望遠鏡観測網(ATNF)および中国科学院上海天文台と共同して、各国の電波望遠鏡を高速インターネットで結び、高分解能の電波天文観測を行う「eーVLBI」実験に成功した。こうした実験はアジア・太平洋地域では初めて。従来は、各国の機関が独自データ形式を採用していたため、各観測データの合成処理にはデータ形式の変換が必要であり、共同観測を行う上で課題となっていた。

  今回、NICTが観測と同時に変換し、ネットワークを介して高速伝送するソフトウェアを開発したことで、この問題が一挙に解決し、3機関の電波望遠鏡を合成した巨大な電波干渉計が実現した。NICTではこの技術が今後、アジア・太平洋地域での電波天文観測に実用化され、同分野の研究協力が活発化することを期待している。

  VLBI(超長基線電波干渉計)は、はるか彼方の天体から地球に届く微弱な電波を、地上などの複数の電波望遠鏡で受信して合成処理する宇宙観測技術。地殻の動きの精密な計測などを行う測地学や、星の誕生、宇宙の進化などを研究する電波天文学などの研究に活用されている。

  NICTは、米国をはじめとする世界各国の研究機関と協力して、日本で初めてのVLBI観測を成功させるなど、これまで同分野の技術開発をリードしてきた。しかし天体から来る電波は、携帯電話などに使っている人工の電波に比べて桁違いに微弱であり、大量のデータを合成処理して観測感度を高めなければならない。そのため従来から、記録した膨大なデータを輸送して交換しあったり、異なるデータ形式を変換するするなど、合成処理には多大の困難さと労力がともない、多くの国の電波望遠鏡を合成して、大規模な電波干渉計を実現するにはネックとなっていた。

  一方、最近は研究・教育用の光通信による高速ネットワークの整備が国際的に進み、NICTでは、VLBIの観測データを高速ネットワークを通じて伝送する「eーVLBI」の研究に注力してきた。

  そして今回の実験に向けてNICTは、観測と同時にデータを、上海天文台とATNFが使用している「Mk5」と呼ばれるデータ形式に変換し、1Gbpsの速度で伝送するソフトウェアを開発した。

  これにより、データ形式が異なることによる諸問題が解決し、今回のeーVLBI観測実験の成功に結びつき、日本・中国・オーストラリアの電波望遠鏡を合成することができた。

  実験は6月16日から18日まで、中国の上海天文台で開かれた国際eーVLBIワークショップにおいて行われた。期間中に実際のeーVLBI観測を実施するため、多くの研究者が協力することにより、eーVLBIの国際間における技術的課題の解決が提案された。そこでNICTなど3機関が協力し、3ヶ国間で初めの国際リアルタイムeーVLBI観測が実現するに至った。実験に用いた各国の電波望遠鏡(パラボラアンテナ)は、NICT鹿島・34m鏡、上海天文台・25m鏡、ATFのパークス・64m鏡等である。

  今回対応したデータ形式は、欧州で実用化され始めているeーVLBIのデータ形式とも互換性があるため、今後に向けては、欧州との共同観測にも大きな展望が開けた。(科学、7月4日号4面)



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