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環境セル型電子顕微鏡による水素放出反応の動的観察に成功
ナノテク】発信:2008/07/17(木) 13:13:18  

  軽元素の水素化物は質量水素密度が4〜20質量%と水素吸蔵合金より高く、燃料電池自動車用の水素貯蔵材料として期待されている。ただ、水素貯蔵材料の設計技術を開発するためには反応機構の解明が不可欠、世界中の研究者が水素化物とガスの反応過程をナノレベルで観察できることを切望していた。

  北海道大学工学研究科の大貫惣明教授および広島大学先進機能物質研究センターの小島由継教授の研究グループは2気圧までの反応ガス雰囲気で使用できる透過電子顕微鏡用の『環境セル』を開発し、水素化リチウムや水素化ナトリウムがアンモニアガスと室温で反応し水素が発生する過程を世界で初めて電子顕微鏡でその場観察することに成功した。

  大貫教授によると「物質とガスの反応をナノレベルで電子顕微鏡観察することは現代科学の夢の一つでした。近年の水素エネルギー関係の研究の進展から、水素やアンモニアなど反応性のガスと固体の反応過程をナノレベルで観察することが課題となっていました」という。

  ただ小島教授は「電子顕微鏡では水素化物とガスの反応過程を観察できなかった。対象の形を検出するビームは気体に当たると像がぼやけるためで、観察する固体を真空中に置いていた」としている。

  そこでガスで固体を覆うことが出来る顕微鏡観察用の環境セルを開発し、これを用いて、軽元素水素化物である水素化リチウム(LiH)や水素化ナトリウム(NaH)がアンモニアガス(NH3)と室温で反応する過程を電子顕微鏡により世界で初めてその場観察できた。

  ナトリウムやリチウムの水素化物は、従来の水素吸蔵合金などに比べはるかに軽量で水素の発生量も多いことから、次世代の燃料電池自動車などの用途に適し、今後の水素貯蔵材料の開発研究の主軸のひとつとして期待される物質だ。

  大貫教授の話「これにより、ナノレベルの触媒反応の研究などに威力を発揮すると期待されます。また高い汎用性から、大気中での含水細胞観察や各種ガスの固体反応にも適用される見込みです」

  小島教授「これを用いて水素貯蔵メカニズムを解明し、高性能水素貯蔵材料の設計技術を開発していきたい」 (科学、7月4日号7面)



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