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鋳型なしRNA合成、正しい配列維持の分子機構解析
バイオ】発信:2008/07/30(水) 11:58:23  

  産業技術総合研究所生物機能工学研究部門機能性核酸研究グループの富田耕造研究グループ長、董雪松産総研特別研究員、沼田倫征研究員らの研究グループは、転移RNA(tRNA)鎖末端の3つのヌクレオチド配列・CCAをDNAの鋳型なしで作る『CCA付加酵素』が、Aを付加する最終段階に、それまでに付加(合成)されたCCまでの配列を確認することで、配列のエラーを少なくしていることを明らかにした。EMBOジャーナルの7月23日号に掲載された。

  tRNAは、タンパク質を合成するアミノ酸を運ぶRNA1本鎖で、30〜40種が細胞内で働いている。このRNAの’3末端すべてにはCCA配列があり、末端のA塩基にアミノ酸が結合して、必要な場所にアミノ酸を輸送する。tRNAの大部分は、DNA鎖を鋳型にして合成されるが、CCA配列は、DNA鎖の鋳型なしに『CCA付加酵素』によって作られる。このCCA配列はtRNAがタンパク質合成で機能するために必須なものだ。

  CCA付加酵素のようなDNA鎖の鋳型を使わないRNA合成酵素は、間違ったヌクレオチドが末端に付いた際、それを校正・削除する機能を持っていない。そのため、どのようにCCA付加酵素が誤った配列を作らないようにしているかは謎だった。

  そこで研究グループは、’3末端に誤ったヌクレオチドを導入したRNAとCCA付加酵素との複合体11種のX線結晶構造解析と生化学的解析を行ったところ、CCA付加酵素は、1番目にC以外のヌクレオチドを付加しても間違いを認識せず2番目の付加反応を起こしてしまうが、最後のA付加反応は強く抑制することがわかった。さらに、RNA末端配列がCCかCUの時だけA付加反応が進行した。

  CCA付加酵素は、Cを付加すると開いた構造から閉じた構造に変化し、RNA末端が反転しながら反応が進行する。一方、Aを付加すると酵素は、閉じたままでRNA末端も反転したままになる。今回、X線結晶構造解析で、2番目のC付加反応は1番目にCが付いていなくても起こることが構造からも実証できた。また、最後の3番目にAが付加される際に、閉じた酵素とRNA末端が1、2番目でCがキチンと付加されているかを確認していることがわかった。CC以外のヌクレオチドが付加された場合は、AとRNA末端間で立体障害などが起きてしまう。

  これらの結果から最後のA付加には、最初のヌクレオチドC74と酵素がワトソン・クリック様水素結合を形成し、2番目のヌクレオチドの大きさやC75と酵素との水素結合を形成することが必須となることが判明した。

  今後は、DNA鋳型を用いない他のRNA合成酵素についても今回と同様に解析を進めていくという。(科学、7月18日号4面)



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