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可視光で高活性な新規光触媒を開発
【その他】発信:2008/08/07(木) 17:38:15
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物質・材料研究機構の光触媒材料センターはこのほど、新規な光触媒材料の開発に関し、異なった複合酸化物の固溶体を合成する方法を応用し、可視光照射下で有機汚染物質の分解に高性能かつ安定な固溶体光触媒(Ag0.75Sr0.25)(Nb0.75Ti0.25)O3の開発に成功した。
現在幅広く研究されているTiO2は、太陽光のおよそ4%の紫外線でしか光触媒反応を起こさないため、光触媒技術を有効に活用するには、太陽光の約43%を占める可視光を効果的に利用できる、高い可視光活性を持った光触媒材料の開発とそれを用いたシステムの構築が必要とされている。今回の成果はその実現に向けた大きなステップとみられる。
新しい特性を持った光触媒材料の開発には様々な合成手法がとられてきた。そうした中でも、2種類以上の酸化物半導体を反応・固溶させる固溶体合成法は、出発物質である個々の酸化物半導体の電子構造を光触媒反応用に最適化することを可能にし、個々の出発物質では実現されない特性が得られる点でとくに注目されている。この合成法による新規光触媒開発の鍵となるのは、どのような酸化物を出発物質として選ぶかである。
光触媒材料センターの機能開発グループは今回、第一原理計算の結果を参考に、ペロブスカイト系酸化物SrTiO3とAgNbO3を出発物質として選択、その固溶体シリーズ(Ag1-xSrx)(Nb1-xTix)O3を合成した。その性能評価は、アセトアルデヒドの可視光化照射下での酸化分解実験の最終生成物CO2の発生速度で実施された。その結果、任意のxをとるどの組成の固溶体でも、元のSrTiO3(x=1)やAgNbO3(x=0)より、CO2発生速度は増加し、より迅速でアセトアルデヒドを分解できることが明らかになった。それらの中でも前者を25%、後者を75%含む固溶半導体(Ag0.75Sr0.25)(Nb0.75Ti0.25)O3(以下、新規光触媒と表記)が最も優れた性能を持つ触媒で、400nm以上の可視光を約100分照射すると、ほぼ100%のアセトアルデヒドがCO2に変換された。
光触媒を材料として利用する際にはその物質の安定性や活性の強さが重要なポイントとなるが、今回合成された新規光触媒の安定性は極めて優れている。3回で約50時間に及ぶアセトアルデヒド繰り返し分解試験で、分解性能はほとんど変化せず、材料性能が維持されていることが確認されている。また、光触媒反応の前後で測定したX線回折パターンとUV−Vis吸収スペクトルのプロファイルも前後でほとんど変わらず、この新規光触媒が材料として安定な物質であることがわかった。
次いで、アセトアルデヒド分解反応過程から活性に関わる量子効率を評価したところ、可視光応答型触媒として利用されている窒素ドープTiO2の0.42%(436nmでの結果)と比較して、新規光触媒では比表面積が数十分の一であるにもかかわらず、量子効率は1.48%(440nmでの値)と3倍以上に達した。
さらに、微弱な省電力タイプの可視光光源としてしられているブルーLED光(波長430〜510nm、光度0.01mW/平方cm)の照射下でも、イソプロピルアルコールなどの有機化合物をCO2に分解できることが確認され、室内での環境浄化材料としてほぼ実用レベルにあることも示唆された。
これらの結果は、今回開発された新規光触媒が、可視光応答方光触媒として”環境”と”省エネルギー”という両面で今後の持続可能な社会の構築に貢献できる有望な材料であることを示している。同センターでは、ナノテクノロジーなどを利用し、超微粒化を進めることによって飛躍的な性能改善を目指しおり、また、今後の実用化研究を効率的に推進していくため、民間企業との共同研究・開発を展開していくという。(科学、7月25日号4面)
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