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超好熱メタン菌培養に成功、122度C環境で生育
【バイオ】発信:2008/08/26(火) 14:39:21
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同位体的に軽いメタンは微生物起源、同位体的に重いメタンはマグマ起源、その中間は有機物の熱変性起源という地球化学の定説は間違っていた。海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センターの高井研・プログラムディレクターは、新しい高圧培養法を開発し、インド洋の深海熱水環境から分離された超好熱メタン菌を122度Cで増殖させることに成功した。この菌から生成されたメタンが同位体的に重いメタンであったことから、地球化学の定説を覆すことになった。
生物は一体どのくらいの高温まで生きることができるのか。60年代から、微生物の最高生育温度記録は次々と塗り替えられ、97年にブロックが報告した113度Cが確かな世界最高記録となっている。03年に米国のラブリーが121度Cで生育可能な超好熱古細菌を報告したが、菌自体が公開されていないため、誰も追試ができていない。
こうした超好熱古細菌は、すべて深海熱水域に由来する化学合成独立栄養微生物で、深海や地殻内の高圧条件を再現して培養することが必要であるにもかかわらず、これまで生育環境の圧力、水素や二酸化炭素などのガス濃度で培養された例はほとんどなかった。
そこで高井プログラムディレクターが開発したのが、注射器に液体培地とガスを入れて、高水圧容器で全体に圧力をかけたまま培養するという方法だ。安価で簡便な操作が可能になったことで、実験可能なサンプル数を大幅に増やせる。
インド洋中央海嶺のかいれいフィールドの熱水(水深2450m、温度360度C)から分離した超好熱メタン菌Methanopyrus kandleri116株を、この方法で培養した。従来の培養条件では、85〜116度Cで生育することが分かっていたが、今回、高圧条件下では世界記録を更新する122度Cまで生育可能なことが明らかになった。また高温での生存能力も、常圧下では130度Cで2時間まで生存できたのに対し、高圧下では130度Cで3時間加熱後も生存可能なことが分かった。
この株は、水素と二酸化炭素からメタンを生成してエネルギーを得ながら、二酸化炭素を固定することで細胞の有機物を合成する。このメタン生成と炭素固定の2つの代謝過程で炭素同位体比の分別を引き起こす。つまり、反応前の二酸化炭素の同位体比がメタンや有機炭素に変換される代謝過程で、より軽い炭素を含むように同位対比が変化する。常圧では、従来と同じような炭素同位対比だったが、高圧下ではより重い炭素を多く含むように同位対比が変化していることが分かった。
つまり、高圧条件下で培養すると、これまでマグマから生成されていたと思われてきた重い炭素に富んだメタンが生成されることが明らかになった。またメタンが生成される時の、温度、圧力、二酸化炭素濃度、水素濃度、メタン濃度などによって決まるエネルギー量が多いと重い炭素に富んだメタンが多くなり、少ないと軽い炭素に富んだメタンが多くなることも明らかになった。
今回の研究成果によって、地球全体の炭素循環モデルが大きく変わることになる。さらに今回の方法を様々な超好熱菌に適用することで、新たな機能や生態学的役割が明らかになるだろう。(科学、8月8日号2面)
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