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伸び縮み可能な高導電性物質で伸縮性集積回路実現
【IT】発信:2008/09/01(月) 15:44:07
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東京大学大学院工学系研究科の染谷隆夫・准教授、関谷毅・助教らの研究チームは、単層のカーボンナノチューブ(CNT)を用い、伸び縮み可能な高導電性素材の開発に成功した。さらに、この素材を有機トランジスタ集積回路の配線に用いることでゴムのように伸縮する集積回路シートを作製した。このデバイスを多様な場所に貼り付ければ様々な機器の表面を電子化できるため幅広い応用が期待される。Science速報版に8月7日掲載された。
研究チームでは、ゴムのように自由に伸び縮みし、かつてない高い導電性を保有する材料を作り出した。化学的に安定なエラストマー(ゴム状の弾性体)では、世界最高の導電率となる1cmあたり57ジーメンスを達成。シリコンゴムにカーボンブラックを添加した従来の導電性ゴムよりも3桁高い導電率を実現した。また、作製後、1年後の測定でも導電率や伸縮率は劣化せず、経時変化にも強いという。
この伸縮可能な高導電性素材は、束状のCNTをイオン液体と混合した黒いペースト状の導電物質『バッキーゲル』にフッ素系ポリマーを混ぜ合わせシート状にしてシリコンゴムでコーティングしたもの。イオン液体を添加することで、CNTの束がほぐれ均一に分散してポリマーの柔軟性を維持させることができる。
今回、弾性ポリマー(フッ素系ポリマー)とイオン液体が、互いに親和性を有して良く混ざり合う組み合わせであることを発見。これによりCNTを弾性ポリマーの中で均一に分散できるようになった。
従来の高導電率素材では数%程度の引き伸ばしで導電率が著しく下がったが、シート状にした新素材は38%引き伸ばしても導電率が変わらなかった。この特性は、スーパーグロース法で作られたミリメートルレベルの非常に長いCNTを導電性添加剤として活用したことで導電率を維持している。また、シート状の新素材をネット構造にして引き伸ばすと導電率は若干下がるが伸縮率は134%になる。
さらに、軽くて曲げられ印刷技術で製造できる『有機トランジスタ集積回路』の配線材料として新素材を利用することで、電気的・機械的劣化がなく2軸方向で70%まで引き伸ばすことが可能な伸縮性集積回路の作製に成功した。10%以上引き伸ばしても電気的な特性が変化しない伸縮性集積回路ができたのは世界初。
これまでゴムやゲルは、集積回路に全く利用されてこなかったが、大幅に導電率が向上した新素材の開発により、自由に伸縮できる集積回路が完成した。ロボットの関節のような可動部品の表面や曲面に貼り付ける大面積センサ等として活用が期待される。
「今回開発したデバイスを利用し、曲面など様々なモノ・場所の表面を電子化することでヒト、モノ、環境が相互作用するようなユビキタスエレクトロニクスが実現していくでしょう」と染谷准教授は話す。(科学、8月22日号4面)
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