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アワノメイガ、オスがメスにラブソング
その他】発信:2008/09/02(火) 11:44:07  

  アワノメイガは、メスにささやくようにラブソングを歌って交尾を行っている。東京大学大学院能楽生命科学研究科の中野亮・特別研究員、田村貞洋・教授、石川幸男・准教授らは、森林総合研究所の高梨琢磨・主任研究員、南デンマーク大学、電気通信大学、NHK放送技術研究所と共同で、アワノメイガのオスが極めて微弱な超音波でラブソングを歌うことを発見した。翅と胸部にある特殊な鱗粉をこすり合わせることで発生させるラブソングは、メスが交尾を受け入れる際に重要な役割を果たしているという。

  多くの蛾は、超音波を聞くことのできる耳を持っているが、これは天敵であるコウモリが餌探査に使う超音波を逆探知するために進化したものと考えられている。動物の中には、音を使って雌雄のコミュニケーションをとるものも少なくないが、蛾の中にも超音波でコミュニケーションしている種がいる。ただし、音は求愛する相手だけでなく天敵や競争相手にも自分の存在を知らせる危険性を持つため、相手だけにこっそり伝えることが重要だ。

  中野特別研究員らは以前、トウモロコシの害虫であるアワノメイガでは、メスが出す性フェロモンに誘われてやってきたオスが、メスの近くで超音波を発することを見い出していた。この時の超音波は非常に微弱であることが特徴だったが、今回の研究では、この超音波がどのように発生し、どういった役割を持つのかを明らかにした。

  超高速度カメラを用いた発音行動を詳細に解析し、超音波の発振とオスの翅の動きが完全に同調していることを確認。またオスにだけ、胸部の翅を立てた時にちょうど擦れ合う場所に特殊な形態の鱗粉が存在し、これらを除去すると音が出なくなることが分かった。さらに、レーザードップラー振動計による解析で、翅の特殊鱗粉の下にある膜が超音波を増幅する機能を持つことも明らかになった。つまり、アワノメイガのオスは、特殊な鱗粉をこすり合わせて超音波を発生させ、それを鱗粉の下の膜で増幅している。鱗粉を用いた超音波発振は今回初めて明らかになった。

  研究グループは次に、オスの超音波の役割を調べた。腹部を走る聴覚神経の反応を調べたところ、メスがオスの超音波を聞き取れるのは約3ab以内の範囲に限られることが分かった。つまり、オスがメスのすぐそばまで近づいて鳴らさないと聞き取れない。

  また、オスの超音波がメスにどのような影響を与えるのかを調べた。通常、メスに接近したオスが交尾を促すと、メスは高い率で受け入れる。ところが、超音波を発することができないようにしたオスに対しては、メスはしばしば拒否反応を示した。この時、同時にオスの発する超音波を再現した合成音を聞かせると、メスは正常なオスに対するのと同じように交尾を受け入れた。

  アワノメイガ以外の数種の蛾でも、微弱な超音波による交信を確認しており、ごく普通の蛾が競争相手や天敵に気づかれないような微弱な超音波を使ってラブソングを歌うことが初めて明らかになった。こうした戦略は、競争相手や天敵を避けるために広く採用している可能性があり、今後、数多くの昆虫や動物で、明らかになることが期待される。(科学、8月22日号4面)



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