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超高温ガス炉実用化へ前進、燃料粒子用被覆材の製造成功
その他】発信:2008/12/22(月) 14:31:57  

  日本原子力研究開発機構(原子力機構)原子力基礎工学研究部門の沢和宏グループリーダーらの研究グループは、水素エネルギー社会の実現に向け、『超高温ガス炉(VHTR)』の研究開発を進めている。その実用化に有用な”高性能被覆燃料粒子用被覆材”準商用(パイロットプラント)規模で製造することに成功、11月から照射試験を世界ではじめて実施した。

  現在の高温ガス炉では、TRISO型(三重被覆)被覆燃料粒子の被覆材料に1600度C(許容設計限界)の炭化ケイ素(SiC)を用いているが、炭化ジルコニウム(ZrC)は、高融点(約3420度C)で耐熱性・化学安定性などに優れ、これを被覆材として導入することで、将来のVHTRの高性能化が図れるとされる。このため、世界各国でZrCを被覆材とした先進燃料の開発、製造を進めている。

  沢グループリーダーによると「高温ガス炉は安全性に優れかつ1000度C℃近い高温の熱を取り出せる原子炉で、水素製造等への利用が期待されています。現在の高温ガス炉の燃料は炭化ケイ素(SiC)被覆燃料粒子で、原子力機構の『高温工学試験研究炉』にも使われており、日本の燃料は世界最高の品質を誇ります。一方、文部科学省の受託事業で開発中の炭化ジルコニウム(ZrC)被覆燃料粒子は、より高温で長期間使用することができ、次世代の超高温ガス炉(VHTR)の性能を飛躍的に向上する革新技術として世界的に期待されています」という。

  そこで、臭化物法(ZrC被覆層の製造技術として原子力機構が開発した化学蒸着法)を用い、均一なZrC被覆層の蒸着に成功した。ZrC被覆燃料の性能を十分に発揮させるには、被覆材の高密度化と高伝導化が条件で、そのためジルコニウム(Zr)と炭素(C)の原子数比1:1にしたZrC被覆層の蒸着が不可欠。ただ物性値の低下や層の均一性を損なう過剰な炭素成分発生の抑制が製造上の技術的ポイントであった。また、炭素とジルコニウムを、100分に1桁の高精度で原子数比を管理でき、高品質のZrC被覆層を製造することができた。これにより中性子の照射試験を、11月からこの製造結果に関心を寄せる米国と共同で実施することになった。

  沢グループリーダーの話「今後は、実際にウラン燃料を使ってZrC被覆技術を商用規模へステップアップし、日本のZrC被覆燃料の開発に関心を寄せる米国と協力して中性子照射データ拡充に力を入れ、VHTRによる原子力水素製造社会の早期実現に向けて全力を尽くしていきたい」

※超高温ガス炉(VHTR)
  約1000℃の原子炉出口温度で運転による高効率発電と熱化学水素製造等高温プロセスが利用可能な高温ガス炉。日・米等10ヶ国が2030年頃に実用化を目指し提唱した次世代の原子炉の一般的な概念第4世代原子力システムの一つとして採用されている。(科学、12月5日号1面)



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