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放射線源からの放射線高精度測定方法を開発
【その他】発信:2008/12/29(月) 15:27:43
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放射線医学総合研究所基盤技術センターの中村秀仁・研究員は、放射線源から放出される放射線を高精度に測定する方法を開発した。放射線検出器のエネルギー校正は、放射線源によるエネルギー損失は無視できエネルギー分布はピークを中心として対称な正規分布である、という前提で行われてきたが、今回の成果はそれを覆すもの。これを応用することで、自然放射線などいくつかの放射線が混在している場合でも、それぞれ別々に精度よく分離することができるため、様々な分野に影響を与えそうだ。米国Radiation Researchの速報版に1日掲載された。
放射線計測器は常に放射線の量やエネルギーの絶対値を計測できるものではなく、基準となる放射線源で校正することで、正しい値が計測できる。放射線源から放出されるエネルギーは1つだけではないが、これまでは代表的なもの1つだけとして取り扱っても問題ないとされてきた。また校正用標準線源のように、放射線源自体が小さく薄い保護膜に封入されているものは、保護膜の影響はほとんど無視できるほど小さいとされ、考慮されてこなかった。
今回の研究では、測定の誤差としてしか扱われてこなかった放射線源中での放射線のエネルギー損失を正確に測定し、結果を評価することで、放射線源外に放出される放射線のエネルギーは、その放射線が生成される際に持つエネルギー(理論値)より低いこと、放射線源中での放射線のエネルギー損失にばらつきがあり、そのために放射線のエネルギー分布がピーク値を中心として非対称になることを確認した。
これらの影響をシミュレーション計算し、その結果を放射線の実測結果の解析に組み入れることで、放射線源から放出される放射線のエネルギーや放射線量を厳密に計測する方法を開発した。
例えば、新たに開発したプラスチックシンチレータを用いた放射線検出器CROSS―miniで207ビスマスからの976キロ電子ボルト殻内部転換電子を測定したところ、この解析技術を取り入れない場合に比べ、エネルギー分解能が約1.3倍向上した。
また、放射線源からは複数の異なる放射線が放出されているが、エネルギー分布がきわめて複雑になるため、これまでは簡単に処理できるよう、代表的な放射線のみを取り出して残りは測定の誤差範囲として取り扱われてきた。今回の測定法では、電子、ベータ線、ガンマ線など放射線の種類やエネルギーの大きさ、放射線の数によらず、高精度に分離できるようになった。
中村研究員は「もともとニュートリノ研究をやっていたので、1回だけの現象を厳密に解析するという姿勢で放射線測定を見直してみたのがきっかけです。またこれまで分解能が悪いとされてきたプラスチックシンチレータでも高分解能での計測が可能だったことから、放射線測定器が入った医療用機器のコストダウンにつながるかもれしない」と話す。
これまで、研究に利用はしても研究そのものとしてはあまり捉えられてこなかった放射線測定だが、温故知新によって新たな展開が見えてきた。(科学、12月12日号4面)
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